第四十八話「悲しき愛の記憶」
アキによって、死を待つだけの状態になってしまった黒焦げのテツ。しかし、テツをずっと生かしたまま殺さず利用し続けるつもりであった団員たちは激怒。
暴走してテツをこうしてしまったアキは団員たちに捕まり、テツの横にもう一台ある手術台に鎖でつながれてしまったのだ。
「なっ、なんで私がっ⁉ 離せっ!」
「バカな無能スパイめが! お前は粛清だ!」
「そんなっ⁉ 私は地位こそ下がったが、それでも組織のエリートだぞっ!」
「まだわからんようだな」
アキの手術台の電気スイッチを入れる団員。
「ウアアーッ!」
鎖に繋がれたまま、もだえ苦しむアキを見て――一旦スイッチを切る団員たち。
「冥土の土産に、教えてやろうアキ。お前はこの組織のエリートだと思っているようだが、実は元々このザラス団の身内ではない」
「なっ、なにっ⁉」
「お前の本当の親はな、そこにいる大和博士のように……我々に協力せず刃向かった、別の正義勢力の一員だったのだ! そして我々ザラス団が、その親を殺害したのだよ! その我々が殺した親の娘が、アキ! お前だ!」
「そっ……、そんな!」
「お前が父親だと思っていたのは、血の繋がらない単なるこの組織の鉄砲玉工作員だ。まだ赤子で孤児となったお前は、この組織の使い捨てスパイとして育てられたのだ。お前は我々とは血も違う上に、元々は敵だったのだよ! それを利用させてもらっていただけだ」
「そんなバカなっ、ウソをつくなっ!」
「ウソではない。それとな、お前が父親だと思っていた工作員はお前の親役をやっているうちに、本当の親のような情が出てしまったのでな……。裏切る可能性が出る前に我々が毒を盛り、バレないように死んでいただいたのだ。お前が大和博士と結婚した後でなっ、クックック」
しかし、そこまでの真実を聞いてもアキのマインドコントロールは根深く――意地でも信じようとはしないのであった。
「うっ、ウソだっ! ウソだぁぁっ! あの父が、私の父だああっ! 私も、この組織のエリートなのだあああっ!」
口ではそう叫びながらも、心のどこかに矛盾だけは感じてしまっていたアキは――涙目になりながら、完全な放心状態になってしまう。
「我々の一派ではないお前のような者は、やはり無能だったな。大和博士に心を惑わされて、スパイ活動の一つすら失敗しおって。しかも今回は、嫉妬心で拷問しすぎるとは……。生かしたまま利用し続ける予定だった大和博士を、このような状態にまでしてしまうとはな。バカな奴め!」
そして、アキの手術台の超高圧スイッチを入れてしまう団員!
「…………⁉」
その瞬間、断末魔すら叫ぶ間もなく――あっさりと、骨まで一瞬のうちに微粒子分解されてしまったアキであった――。
それでも、その死の瞬間だけは――テツとの僅かに楽しかった期間の思い出が――脳裏に一瞬浮かぶと共に滅したのである。最後までマインドコントロールがとけず、改心しないまま逝ってしまった『悲しき女のあっけない最期』であった。




