第四十七話「狂気の嫉妬」
テツは気力を絞って、アキに言い放った。
「俺はお前と結婚していた時、お前のおかしな部分もワガママな性格もすべて受け入れて本気で愛していた。だからこそ結婚したんだ! しかしお前は俺よりも組織に従う事の方が優先で、心から愛を受け入れることなく一方的に理由も告げず離婚していった! だから俺は、あの日以来キッパリお前のことは忘れている! 今の俺には、お前にはまったく未練はない!」
「うるさい! あんたがっ、あんたが全部悪いのよっ!」
(駄目だ……。アキはどうやら、ザラス団によって完全にマインドコントロールされている……。これはもう、一生とけないであろう……悲しき女よ……)
「元妻の私が、せめてあんたの拷問役をやってやるわ!」
電気スイッチを入れるアキ。
「ウグッ!」
「あんたがっ、あんたが私にさえ従ってたらっ! 私はあんたとこのザラス団で一緒に幸せに暮らせたんだよっ! 今頃、あんたとの子だって……ここにいたはず!」
精神が病んでいるアキは、さらにパワーを上げる。
「……ウッ⁉ ウァァァーーー!」
目玉が飛び出そうなほど、体をジタバタさせながら苦しむテツ。
「やめろアキ! これ以上やると、大和博士が死んでしまう! 我々は、大和博士を生かさず殺さず利用する方針なのだぞ!」
別の黒装束団員が、アキを制してスイッチを一旦切るのであった。
テツは、死にそうな声を必死にふりしぼる。
「いっ、いいかっ! 例えこのまま俺の肉体がここで滅びようが、正義の魂だけは悪に絶対屈しないぞ! それが、この熱血男児・大和テツだ! わっ、わかったかっ! ハッ、ハハハッ……ウウッ!」
団員にスイッチを切られたアキだが、興奮はおさまらない。
「うるさいっ、み、みんなあんたのせいなのよ! 私はあんたと、この組織で幸せに暮らしたかったんだっ……その後……別の女と結婚して子供まで……うあああああーーーっ!!!」
制止しようとする団員にかまわず、最大パワーでスイッチを入れてしまうアキ!
「ギャアアアアアーーーーーーーーー!」
テツの体が黒く焦げ、煙が立ち込めてしまう。団員が必死にアキを止めてスイッチを切るが、テツはもうピクリとも動かなくなってしまった――。
団員がテツの脳や心肺の計器をチェックすると、まだ死んではいないがもう助からないほどに肉体が破壊されていた。すでに重篤状態で、数十分後にはこのまま死ぬだけという状態にされてしまったのである。
「わっ、私に従わなかったからこうなったのよっ! これでテツはもう他の女にちょっかい出されることはないわっ! テツは一生、私の思うがままよっ! ア、アハハハハ!」
狂気の表情で笑うアキであった。




