第三十七話「オクマーマの正体」
街外れにポツンと存在する、オンボロの大和宅を訪れたオクマーマ。
若干蜘蛛の巣が張っていたが、表札はそのまま残っており――そこには『大和テツ・アイコ・キミナ』と記載されている!
「最近死んじゃった娘ちゃんは、キミナちゃんという名前なんでちゅね。出来れば、生きている間に会いたかったっちゅ……。かわいそうっちゅ」
オクマーマは役所の管理者に許可を得ると、早速ボロ屋の中に入っていた。
(ボロ家かもしれまちぇんが……。オクマーマには、なんだかとても温かみを感じまちゅ……)
なんとなく、心が安らぐようなデジャヴを感じてしまうオクマーマ。
「本当になにもない、がらんどうの家っちゅ。おじゃましまちゅ」
オクマーマは玄関を上がり、フスマを開けて小部屋の中に入ってゆく――。
すると――そこには!
「ああっ⁉ これはっ、オクマーマと同じ姿のぬいぐるみっちゅ!」
小部屋の神棚には――キミナの父であったテツの遺影と、テツとアイコが新婚旅行で買った木彫りのヒグマ、そして遺品の『超合金カタイナー』が入った箱が置かれている。そして、その横にあるキミナの遺影と共に、ぬいぐるみオクマーマも遺品として一緒に飾られていたのである!
左耳に同じ青いリボンが付いており、その色、デザイン、細かい毛髪のクセまで含め、すべてが完全に同じである『オリジナルのぬいぐるいオクマーマ』。キミナの遺体と一緒に火葬されたりはせず、遺品としてそのまま残されていたのだ。
「じゃ、じゃあ……。オクマーマに宿っている、いい子ちゃんの魂は……キミナちゃんの魂だったんでちゅかっ⁉」
ついに自分の正体を知り、驚愕してしまうオクマーマ。
さらに、超合金カタイナーの箱を開けて、中身を見ると――。
「あっ! このロボットの装備が、オクマーマの中に浮かんだ装備とソックリっちゅ!」
自分が使えるようになった装備が、カタイナーの装備と同じであり――片手だけパンチが壊れているなど、自分との同一点も確認するのであった。
(これはもう、間違いないっちゅ!)
確信したオクマーマは、キミナとテツの遺影をまざまざと見つめてしまう。
「キミナちゃんの自我は、今このオクマーマと同じ魂の中にいて、オネンネしてまちゅ。オクマーマはキミナちゃんと同じ魂の中で、オネンネしているキミナちゃんの代わりに活動している分身のようなものっちゅ。だったら……所長ちゃんは、オクマーマにとっても本当のパパ同然っちゅ!」
また――キミナが死んだ直後に家を出て、今は行方不明だという――キミナの母・アイコにも、思いをはせるオクマーマ。
「それに……。アイコママも、本当のママ同然っちゅ! ママは、今どこにいるんでちょうか……」




