第三十八話「タイムリミット一週間」
(そ、そうっちゅ! 今はそれより、ザラス団のテロを止めなくちゃいけまちぇん! とにかく、もっと情報を集めるっちゅ!)
大和家を飛び出し、再び政府高官の元へ向かうオクマーマであった。
その飛び出していったオクマーマと入れ替わるように、ちょうど大和家に到着しかかっていたノリオ。必死に走っていくオクマーマの後姿が、遠くへ小さくなってゆく。
「あっ、オクマちゃん? ……あ~、行っちゃった。なんだか、すごく急いでいたような感じだったなぁ」
そしてノリオが大和家の小部屋に入ると、オクマーマにソックリな人形が置かれていたことに驚愕してしまう。
(こ、これは……。オクマちゃんにソックリのぬいぐるみ⁉ ……そうか、オクマちゃん。僕には詳しい理由がわからないけど、君は今おそらく大きな情報を掴んで一人で必死に動いているんだろう。それだけはわかるよ。でも、あまり無理しないでくれよ……)
それからオクマーマは、再び政府高官だけしか入れない作戦室に忍び込み――しばらく張り込んで、様子を伺ってみたものの――政府高官たちは相変わらず、グダグダと解決策のない言い合いばかり続けるのみであった。
しかし、オクマーマが張り込んでから数日後。
再び高官専用モニターへ、例の『テツに似たザラスの前線指揮者』から再びメッセージが入ったのである。
「君たち政府高官に、いい知らせを持ってきてやったぞ」
「待ってくれ! あなたはもしかして、大和テツ博士ではないのですかっ⁉」
そんな政府高官の問いかけを無視し、話を続ける大和テツ似の前線指揮官。
「我々ザラス団は、先に予告した通り『念波で生物だけを消滅させる増幅装置』をついに完成させた。そしてその殺人念波を発射する子機を、すでに全国各地へ設置したのだ! 無能な君たちでは、我々の団員が子機を全国に設置していたことすら、まだ掴んでいなかったのではないだろうか。どうだ、図星であろう?」
「クッ……」
言い返せない、政府高官たち。
「後は、各子機に念波エネルギーをフルチャージすれば……スイッチ一つ押すだけで、国内にいる人間は全滅だ! しかし。ただ全滅させるのでは、我々ザラス団としては面白くない。チャージに要する時間だけ、あえて教えてやろう」
「くそう……舐めやがって! ザラス団め!」
「フルチャージするには、一週間の時間がかかる。その間、せいぜい頑張ってみるがいい。もし一つでも子機が発見出来れば、その地域だけはとりあえず助かるぞ? まあ少なくとも、全部発見するのは不可能と言っていいだろう。君たちが恐怖に怯えながら無駄な悪あがきするのを、ゲームのように楽しませてもらうよ。ハッハッハ!」
過去、誰一人として団員の顔が判明したことがないという秘密組織のザラス団。その中で初めて、唯一堂々と顔を晒してきた前線指揮者だと名乗るこの人物――。
果たして彼は、本当に大和テツなのであろうか?




