↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大型案件の決済種別は『一家心中』――死んでも止まらない派遣社員は、322歳の社長を許さない  作者: 葛石
幕間 二

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/83

あの約束

某日。


気が遠くなるほどの長い月日が流れた。


厚いガラス越しに、男は受話器を耳へ当てる。


向こう側で、大人びた手が同じように受話器を持ち上げた。


「お父さん」


男は静かに目を細める。


「進学、どうするか。……決めた」


短く頷く。


学校のこと。


友達のこと。


家のこと。


他愛もない話を、男はひとつも聞き漏らさないように耳を傾けた。


「ねえ、お父さん」


男は少しだけ身を乗り出す。


「あと一年だよね。約束、……覚えてる?」


一瞬だけ、男は困ったように笑った。


「覚えてるよ、凛」


受話器を持ち直す。


「お父さんのオムライス、約束したよね」


鈴のような声が、聞こえる。


約束は、もう破らない。


「ママを頼むね」


ガラスに映る自分の姿が、まだ遠くに感じる。


『面会時間です』


無機質な声が室内へ響く。


男は受話器を置いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。