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【閲覧注意】弊社の『大型案件受注』の決済種別が『一家心中』と『交通事故』だった。――余命と因果を改竄する派遣社員の私は、322歳の社長を許さない。  作者: 葛石
第三章 共同戦線編

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4行



「ふざけるなッ……、ふざけるなッ!!」


刑事達は、泥を啜り、必死に抗っていた。


不条理な世界に爪を立て、最後まで生きようともがいていた。


「誰も死なせるかッ! 運命なんか知るか! 全員、私が書き換えてやる……ッ!!」


左手を突き出す。


この爪で、引き裂いてやる。


白いブラウスの胸元が、眼から噴き出す鮮血で、瞬く間に赤黒く染まっていく。


魂が、強引に肉体から引き剥がされる。


「あ、アアアアアアアアッ――!!」


頭骨が圧し潰されるような激痛。


どうでもいい。


――ギチギチ、ガリッ、ガッ!


痛みの向こう側へ突っ切る。


灼熱が眼玉を、視界を、すべてを焼き切る。


「知るかッ! 皆がんばったんだぞ……! 死ぬわけないだろ……! 私のものだ、返せッ!! 返せよッ!! 皆が笑ってた時間まで、巻き戻せ――ッ!!」


喉を裂く絶叫が、世界を拒絶するように響き渡る。


その瞬間、世界が軋んだ。


メキメキと音を立てて時空が歪み、破滅の光景が、猛烈な勢いで逆再生されていく。




【運命の改竄】


――生存:倉持 剛 (48)

  生存:陣内 勝 (42)

  生存:井上 陽向(32)

  生存:綾瀬 玲奈(26)




「アハハハハッ!」


激痛の果てに、笑いが込み上げていた。


両眼は光を失い、文字の形すら判別できない。


だが、それでよかった。


漆黒に染まりゆく視界の真ん中。


確かに『4つの行』が残されていた。


それだけが、残された網膜に映されていた。


直後。


濁った世界のすべてが、逆再生されていく。


その光景は、もう氷室には見えなかった。




『――番組の途中ですが、緊急ニュースをお伝えします。本日午前11時ごろ、福止市の交差点で警察車両2台が正面衝突する事故があり――』


デスクの向こうで、遠藤の短い悲鳴が上がった。


白鳥の、何かに怯えるような叫び声。


(……書き換わった、のか? あいつらは、助かった……?)


指一本動かせない。


思考の自由が、急速に奪われていく。


「氷室さんッ?! ちょっと、何それ、血が――」


顎の骨が砕けるかと思うほどの衝撃。


床に倒れ伏したのだと、遅れて理解した。


視界は真っ黒なままだった。


『――乗っていた警察官4人が意識不明の重体、市内の病院に緊急搬送されました――』


口角が吊り上がる。


喉の奥から、生暖かい塊が際限なく溢れ出てくる。


むせるような、不快な鉄の匂い。


「遠藤さん! 救急車! 早くッ!!」


「繋がらない、嘘、なんで……ッ!」


爪で画面を引っ掻くような、焦った操作音が聞こえる。


「や、やだ……、呼吸してない……。氷室さん、ダメよッ! お願い、起きてッ!」


鼓膜を震わせていた白鳥の声。


みるみる遠ざかり、歪んでいく。


(静子、ほら、また私の勝ちだ。……アハ、アハハハハッ、待ってろよ。次は、お前を、殺、……)


氷室の意識は、冷たい闇へと落ちていった。



第三章をお読みいただき、ありがとうございます。


『氷室は世界のルールさえ、ひっくり返してしまいます』


本作は結末までノンストップで駆け抜けます。


ぜひ画面下の【ポイント】や【いいね】を押して、最後まで見届けていただけると嬉しいです。


皆様の熱量(応援)次第で、氷室が結末の更に先、いくつものストーリーを駆け抜けていく未来が決まります。



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