すれ違い
アラン達が村に出向いてすぐ、タケルは物思いに湖を眺めていた。「アランのことが心配?」と静かに尋ねるセレーナ。「カート達が付いているんだ、、大丈夫さ!」と明るく返すタケル。「じゃあ、なんで?」とセレーナはタケルの顔を覗き込む。タケルは一瞬頬を赤裸め、セレーナから顔を背ける。「多分俺、悔しいんだよ。アランが羨ましいっていうか、、俺はあいつみたいに覚悟決めて突っ走れないからさ」とはっきりとした声で話すタケル。「意外、、」と呟くセレーナ。「決めれると良いね、、覚悟。」と淡々と話すセレーナ。タケルは「なんだよ、その言い方」と半笑いしながら返す。「そろそろ戻るか!」と言い、歩き出すタケル。
汽車に併設したテントに戻ると、アルが爪を噛みながら、ぐるぐるとその場を行ったり来たりしていた。「ちょっとは落ち着きなよ。」と料理をしながらユースが苛立っていた。「だって、燃え盛る村に、兄貴が、、」と不安そうに呟くアル。「カート達もいるんだし、大丈夫だって」と叫ぶユース。「お前ら、またやってんのかよ、、」と戻ってきたタケルが面倒くさそうに呟く。タケルはセレーナに対し「腹減ったし、一緒にユースの手伝いでもするか?」と尋ねるが、背後にいたはずのセレーナがいなくなっていた。セレーナを探しにテントを出るタケル。セレーナはテントの外で瀬湖をの一箇所を見つめていた。「何かあったか?」と尋ねるタケル。セレーナの視線の先には木造の小舟が浮いていた。「人が乗っているかも、」と呟くセレーナ。タケルは双眼鏡で小舟を確認する。小舟の上には縄で縛られた子供が乗っていた。「どういううことだ、、」とタケルは呟き、すぐさまユースとアルに状況を説明しに行った。「この暗い夜に、あの距離を泳ぐなんて自殺行為だ。」とアルが冷たく呟く。「でも、助けに行かないと、、あんなボロ船、いつまで持つか、、」と躊躇うタケル。「行かせてやれよ」とユースが言い放った。「兄貴だったら迷わず助けに行っている。」とユースが言うや否や、アルが「俺らは、兄貴じゃない」と冷たく言い切った。「あんたにとって兄貴は神かなんかか?」と言い返すユース。ユースは小舟を指差して「俺らは兄貴がいたから助かって、あの子は兄貴がいないから助からないのか?」とアルを睨みつける。「俺は、、もう失いたくないんだよ、」と呟くアル。すると突然セレーナが部屋の隅から銃とワイヤーを持ち出してきて「この銃使えないかな」と淡々と呟く。三人は、一瞬キョトンとした。
四人は急いで、銃を改造し、ワイヤーガンを作った。「射程距離は十分だが、こんなもので船を引き寄せられるかどうか、、」とアルが心配そうに呟く。「正確に射撃する必要もあるな、、」とユースも呟く。「誰が撃つの?」とセレーナが呟くと、沈黙が起きた。「俺がやってやる!」と気まずい雰囲気を打ち壊すように銃を手に取り、外に出るタケル。「時間をかけたってどうにもならないだろ!」と躊躇なくトリガーを引き、小舟にワイヤーを通した。するとすかさず、ユースとアルがタケルの元に駆けつけ、三人でワイヤを引っ張り、小舟を陸上まで引き寄せた。
小舟を岸に引き寄せたタケルは、すぐさま、小舟に乗り込んだ。小舟には、手足を縄で縛られ、目隠しをされた子供が眠っていた。タケルは縄をほどき、「大丈夫か!」と子供に呼びかける。息はしているものの、反応のない子供。「おい!」と子供を強く揺さぶるタケル。「どいて!」と瓶を数本持ちながら、ユースが駆け寄ってくる。「おそらく、相当強い睡眠薬を飲ませれている。」とあるが言うと、「睡眠薬?」とセレーナが呟く。「薬草を食べさせたか、燃やして煙を吸わせたか、、、」と呟きながら、ユースは瓶の中にある薬草や干物をすり潰し始める。「これで目が覚めるはずだ」と言いながら、すり潰したものを子どもに飲ませるユース。ひと段落し、四人が落ち着きを取り戻し始めた矢先、湖からエンジン音が聞こえてきた。「帰ってきた、、」そうセレーナが呟く。アルとシモンズは、「兄貴!」叫びながら湖へとかけていく。タケルもボートの方に目を向け大きく手を振る。しかし、そのボートにはアランだけがいなかった。




