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「live wire」

少女を助けたアラン達は、汽車を走らせ補給地へ向かっていた。

アランとタケルは屋根の上から外を見張り、車内ではカートが操縦をしている。

その横で、穏やかな顔で眠る少女。

汽車に乗せてから数時間、まだ目を覚まさない。

「アラン君の部屋から持ち出してきた服が、こんな形で役立つとはね」

少女の服装を見ながらカートが呟く。

「なんで俺の服を勝手に持ってきたんだよ!」

アランが怒鳴る。

「俺の着替え用!」

満面の笑みで答えるカート。

「俺も着替え持ってくればよかったな。暑くて汗かいちまった」

タケルが顔を拭いながら呟いた。


汽車は荒野の風を切りながら進んでいく。

「もうすぐ補給地のはずだ。十時の方向に何か見えないか」

カートの声を聞き、二人は周囲を見渡す。

「何があるんだ?」

そう言って目を細めるアラン。

「おいあれ見ろ!」

タケルが望遠を覗きながら声を上げる。


タケルから望遠鏡を受け取り、覗き込むアラン。

線路が伸びるその先に、

鉄とレンガでできた建造物を見つけた。


建造物の中へと進む汽車。

「駅に着いたぞ」

そう言い、カートは汽車を止めた。

ホームは崩れ、壁の塗装は剥がれ、風だけが通り抜けていた。


「タケルは電池を、アランは食べられそうなものを探してきてくれ」

カートが二人に指示を出す。

「おいおい、こんな暑い中でかよ」

タケルが喚く。

「仕方ないだろ、ほら行くぞ」

アランにそう言われ、タケルは散策に向かう。


電池と食料を集め終え、二人は汽車へ戻ってきた。

慣れない暑さでぐったりしている二人をよそに、カートは笑顔で言う。

「食料を積み込んだら、あそこの客車を持ってきてくれ」

指差す先は、別のホーム。

「持ってこいも何も、客車しかないんじゃ動かしようがないだろ!」

アランが叫ぶ。

カートは一瞬きょとんとした。

「二人で押してくればいいだろ?」

さも当然のように言うカート。



客車を推し進める二人。

「何が『接続は俺がやっとくから!』だよ」

タケルが悪態をつく。

「まあ、ムキになるな。事実、俺らじゃ接続できないから」

額に汗を滲ませながら呟くアラン。


客車を運び終えると、二人はその場に倒れ込む。

「ありがとうね」

明るい声で言いながら、カートは接続作業を始めた。

「俺、この人苦手だわ……」

タケルは疲れ切った声で呟く。


補給を終え、汽車は再び荒野を走り出す。

アランとタケルは客席で仮眠を取っていた。

突然、カートが勢いよく飛び込んでくる。

「晩飯いる人!」

疲れ切った二人は、気だるい目でカートを睨む。

「寝てたの?ごめんごめん。」

カートは怯んで苦笑いした。

そのとき、か細い声が響く。

「はい……」

少女が腕を上げていた。

アランとタケルは驚き、駆け寄る。

「いつから起きてたんだ……?」

タケルが戸惑いながら尋ねる。

「ほんといつから?」

カートも笑顔で聞く。

「とりあえず食べるかい?」

カートは非常食のスティッククッキーを少女に渡す。

「君たちの分もあるよ」と二人にも差し出した。

「まさか夕飯ってこれ一本じゃないだろうな」

タケルがアランに問いかける。

「安心しろ」

アランが言うと、タケルはほっとする。

「この一本に半日分の栄養が入ってるから……」

「マジかよ……」

タケルの表情が再び曇る。

そんなタケルに気づき、カートが励ます。

「洞窟に入れば、食用のキノコやうまい水が手に入る。キノコのステーキなんて絶品だぞ」


食事を終えると、カートは、少女の元へと近づく。

「何で、あんなところで倒れていたの?」

「……私、倒れていたの?」

落ち着いた声の少女。

アランとタケルは困惑する。

「どこから来たのか?」

続けてカートが問いかける。

「どこだろう……」

少女はそう呟いた。

「名前は覚えてないのか?」

アランが尋ねる。

「セレーネ。それだけは覚えているの」

少女は静かに言った。

「君はどこかに帰りたい?」

アランの問いに、セレーネは「分からない」と答える。

薄い光が差し込み、セレーネの横顔を淡く照らした。


「俺たちと旅をしてみないか」

アランがそう言うとカートは少し険しい顔をする。

「まあ、そうするしかないよな」

タケルがぼそりと呟く。

セレーネはアランをじっと見つめる。

荒野の風が車体をなで、車内が一瞬静まり返る。


「……よろしく」

そう言い、アランの手を取るセレーネ。

荒野の色が窓に流れ、4人の影が静かに揺れる。

「良い雰囲気のところ悪いが、」

空気を切るように呟くカート。

「もうすぐ洞窟に入る。灯りの準備を手伝ってくれ」

カートは明るく言い放った。



懐中電灯や蝋燭を付け、汽車は洞窟へ入っていく。

しばらく走ると、洞窟内が徐々に明るくなり始めた。

「何だ、もう出口か、こんな短いなら、蝋燭とかいらなかったんじゃ」

そうカートに文句を言うタケル。

「いや、あの光は……」

アランは洞窟の先を凝視する。

汽車が加速し、光に近づいていく。

すると、あたり一面が青白い光に包まれる。

「何だよ、これ!!」

タケルが驚き声を上げる。

汽車の周囲には幻想的な世界が広がっていた。

発光するキノコ、光を放ちながら移動する虫、鉱石に反射して揺れる光。

アラン達は未知の光景に見入った。

カートはそんな3人の様子を落ち着いた様子で見つめている。

「この景色、見たことあるのか?」

カートへ興奮気味に尋ねるアラン。

しかしカートは答えず、ゆっくりとニヤつき始める。

「どうした?」

アランが再び問う。

「微かに聞こえる・・・」

カートは窓から身を乗り出し、周囲を見渡す。

「誰だ、こんなとこでロックを流すやつは」

笑いながら叫ぶカート。

音楽は徐々に大きくなり、近づいてくる。

音の先に目を向けると、一台の車が洞窟内を爆走していた。

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