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地球の選択

アランの村から、遠く離れた山の上。

山脈の背に沿って建物が立ち並んでいる。

石壁は夜気を吸い、道は暗い。

尾根を渡る風が家々の軒を鳴らす。

その中で、一際目立つ木造の建物があった。

村の中心に位置する高床式の館。

会議を終えた村人たちが、そこからゾロゾロと外へ出ていく。

しばらくして戸が閉まり、館に静けさが戻った。

「シモンズ様、それでは」

最後の一人が青年に声をかけ、去っていく。

卓に残った酒を口に運ぶシモンズ。

灯りが揺れ、外の風が軒を鳴らした。

襖の向こうで衣擦れの音がする。


「会議は終わりましたか」

控えめだが芯のある声。

「ハンナですか。そんなところにいず、こちらへ」

シモンズが柔らかく声をかける。

ハンナは静かに部屋へ入り、隣に座った。

「兄様、お疲れ様です」

「今日は疲れました。倉庫から食べ物を持ってきてくれませんか」

ハンナは頷き、部屋を出ていった。

「……」

ハンナの後ろ姿を見つめるシモンズ。


すると突然、床がわずかに震えた。

大きな揺れが村を襲った。

「地震か!?」

棚が倒れ、蝋燭台が転がり、床が軋む。

立ち上がることもできず、シモンズは床にしがみついた。


しばらくして揺れは収まった。

村人たちは家から飛び出し、互いの無事を確かめ合っている。

「兄様は……」

食糧庫から出てくるハンナ。

シモンズの身を案じ、館へと向かう。

館にたどり着くハンナ。

目の前の光景に息を呑む。

「そんな……」

シモンズの住まいである館は、無残に倒壊していた。

「おいおい!どうなってるんだこりゃ!」

倒壊した館の側で地面を見つめる村人達。

彼らの視線の先には大きな亀裂が走っていた。



「う……」

頬に落ちる冷たい水滴で目を覚ましたシモンズ。

薄暗い空間。

足元には丸石が敷き詰められ、川のせせらぎが聞こえる。

「地下にこんな空間があったとは……」

裂け目から差し込む太陽の光。

周囲には、食料が詰まった樽や袋が散乱していた。

「明かりも食料もある……助かりましたね」

安堵の息をつくシモンズ。

束の間、地面が再び揺れ始める。

「余震か……救助は期待できそうもないか」

小さな揺れが何度も起こり、救助がすぐには来ないことを悟るシモンズ。

食料を確保し、周囲の探索を始めた。

岩壁に沿って歩いていると、その一部に不自然な“線”があることに気がつく。

「……扉か? どうしてこんなところに」

シモンズは息を整えながら鉄製の扉を力いっぱい引く。

薄暗い空間に、埃をかぶった棚が静かに並んでいた。

「ここは……」

シモンズは吸い寄せられるように部屋へ入った。

「なんだ、この舟は……」

部屋の奥には、奇妙な形のボートが置かれていた。


3日後

部屋にある資料を読み漁りながら救助を待つシモンズ。

「旧時代こんなものが作られていたのか」

資料にはボートや電池についての記述が載っていた。

「莫大なエネルギーを秘めている電池。大きな衝撃を与えても爆破せず、少しづつエネルギーが放出される……すごいな、こんな画期的なものを」

資料を読み終えたシモンズは、電池を手にボートへ駆け寄る。

「ここが電池の装着口で……加速と減速の操作は……」

シモンズは興味津々でボートをいじり始めた。


5日後

上空の裂け目から太いロープが降りてきた。

次々とロープを伝って降りてくる村人たち。

その中にハンナの姿もあった。

「兄様!!」

シモンズを見つけたハンナは、涙を浮かべながら駆け寄った。

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