表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デルタ・ワン(クロスロード編)  作者: NabYu
1章:冒険
3/6

パンドラ

滑らかな斜面を、颯爽と駆け下る汽車。貨車や客車はついておらず、狭苦しい空間であることを嘆くカート。アランはスパナを持ち、「あんたも手伝ってくれ」とカートに視線を送る。「ちゃんと指示を出してますよ」と不貞腐れているカート。そんな二人をお構いなしに、タケルは上半身を汽車から出し、外の世界に目を輝かせている。

周囲は灰色の岩肌で、後方には雪山が、進行方向には広大な大地と海が広がっている。


カートによると、気温の低さや空気の薄さから、周囲にショクブツが現れることは滅多にないらしい。「アランも見ろよ!」と楽しそうにタケルが叫ぶ。「作業がひと段落したらな」と微笑みながら叫び返す。

タケルは外の世界が美しいことに共感を求めて、アランに話しかける。興奮して話すタケルに対し、共感の相槌を打つアラン。

アランはタケルと同様に目を輝かせながら外を見つめはじめる。すると、遠くの大地に見える林が少しずつ動いていることに気がつく。

カートが、「あれは、ショクブツの集まりだ」と冷たく呟く。ここから見える緑地は全てショクブツだと言い放つカート。「嘘だろ、」と言葉を漏らすタケル。アランも一瞬驚いた後、瞬時に顔面を蒼白させた。線路はショクブツの蔓延る大地に向かって伸びていたのだ。「このまま山岳を下ったら、俺たちショクブツの餌食だぞ!」と荒々しく緊迫した表情でカートに問い詰める。カートは「そうならないために汽車に乗っているし、銃を持ってるんでしょ!」と少しふざけた口調で答える。「マジかよ、」とまたしても言葉が漏れるタケル。


山岳を降り、大地を走る汽車。ショクブツは遠目に見えるものの、近くには寄ってこない。「なんか拍子抜けだな」とアランに話しかけるタケル。「ショクブツ達は、汽車に乗って高速で動いている俺たち動物を認識できていないからね」とさも当然かのように話すカート。それを早く言えと、アランとタケルは騒ぎ立てた。カートは「まぁ、食料や電池の補給する必要があるから、危険に変わりはないよ」と苦笑いしながら弁明する。

カートは古びた地図を広げると「補給ができそうな場所の目星はついている。」と言い、地図の一箇所を指差す。アランはカートの指さす補給地よりも、地図の中央に位置する塔のイラストに関心を持つ。カートはアランに「気になるか」と穏やかに話しかける。「この塔こそ、人類の希望と絶望が詰まったパンドラの中枢だ」とアランにに語りかけるカート。タケルがカートとアランを見つめ、難しそうな顔をし「要するに、ここが目的地ってことか?」と問いかける。アランがそうだと強く頷く。


山岳を下り、荒野を駆けて半日がたった頃、カートがタケルに、外を見てくるように指示を出す。周りにショクブツがいないか聞かれ、タケルは眉間にシワを寄せて、周囲を見渡す。するとカートが「いいもん貸してやるよ!」と、銅製の望遠鏡を投げ渡してきた。タケルは望遠鏡をぎこちないながらも使いこなし、4時の方向にショクブツの群れを発見する。カートがその位置なら問題ないと言い、「このまま順調に行けば、明日の朝には補給地に着く、危険は少ないはずだ」と二人に伝える。アランがタケルと変わり望遠鏡で周囲を見渡す。すると、進行方向から少しズレた位置に、少女が倒れているのを見つける。アランはカートに報告しつつ、銃を腰に携えて、外に飛び出そうとする。今行けばショクブツの餌食だと反対するカート。アランは、「ここで見捨てたら、村を出た意味がない。誰一人無駄死にはさせたくない。」と力強く言い放ち、必ず戻るとタケルの肩を叩く。

カートの静止を遮り、汽車から飛び降りるアラン。カートは仕方なく、汽車を急停止させ銃をいじり始める。アランは荒野の中を走り出し、倒れている少女のもとに駆け寄った。意識のない少女の脈を確認し、すぐさま抱えて走り出す。ショクブツ達がアランに気付き、迫り来る。振り向きざまに銃を連射するが群れの圧倒的な数には無力であった。ショクブツから伸びたツルがアランの体に絡みつく。次の瞬間、ツルが突然爆発する。その後もショクブツが次々と爆発していく。汽車に目をやるとカートがスナイパーライフルを構えていた。カートはタケルに汽車を発進させるように命じる。タケルは戸惑いつも汽車を動かす。アランは動き出した汽車に間一髪で乗り込み、少女の救出に成功する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ