第41回
肌を凍らせるような寒い風が吹き続ける2月下旬、あの熱いお笑いライブが開催されていた。そう、昨年9月にラジオで発表された、武道館で行われる「センターライン」の単独ライブだ。
ライブの翌々日、『20期生、ただいま検証中。』の配信を見ると、なぜかツッコミの中川の姿はなく、ボケの中村、一人でのMCとなっていた。番組内では「体調不良でお休み」とだけアナウンスされ、詳しい理由は語られないままだった。
後から知ったことだが、武道館での単独ライブは来場者が1万2000人を超え、全国の映画館で行われたライブビューイングを含めると2万人以上を動員したらしい。
マラソンの衣装で走り込んで登場した中村を、なぜか自転車で追い抜く中川。
「おい!なんで追い抜くんだよ!」
という中村のツッコミが会場に響いていたようだ。
登場後のフリートークから始まり、中村はこの日のために練習してきたプロレスを披露し、中川は得意のDJとラップで会場を沸かせたという。ゆかりのある豪華なゲストも駆けつけ、最後は二人の軌跡を辿るダイナミックな漫才で、武道館全体を爆笑と感動の渦に巻き込んだ。
僕は会場にも行けず、ライブビューイングすら見る余裕がなかったのだが、なぜそこまで詳しく知っているのかといえば、翌週の『センターラインのラジオ』を聴いたからだ。
そこで、中川の口から衝撃的な事実が明かされた。
「俺さ、ライブの最後の漫才が終わった後、舞台袖で倒れたのよ。」
「あ、そうだったね。」
中川の告白に、中村は他人事のように相槌を打つ。
「その時、こいつがさ!横に立って心配の一言でもかけてくれるかと思ったら、何も言わないの!今も 『そうだったね』しか言わないでしょ?蔑むような目で見下ろしてきてさ。俺はそのまま救急車で病院行きだよ!過呼吸だったらしいんだけどね。」
「いやぁ、大変でしたね。」
「お前のせいだよ!……で、AYBの番組はどうだったの?」
「私、一人でなんとか回したよ。進行もして、体も張って大変だったんだから。」
『20期生、ただいま検証中。』で中川がいなかった理由はこれだったのか、と僕はベッドの中で合点がいった。
中川は一晩入院し、3日間の休養を経て無事に復帰したらしい。
満身創痍になりながらも武道館をやり切った二人の意地。
ラジオから流れる二人の笑い声を聞きながら、僕は「僕も休んでばかりはいられないな」と思った。
この武道館ライブの裏話が、後にお笑い界で伝説として語り継がれることになるのを、二人も、そして僕もまだ知らなかった。
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