第3回
私は子供の頃からAYB32が大好きだった。しかし、人前に出るのは大の苦手。スピーチ大会では冒頭から泣き出してしまう始末。堂々と人前で話すことが出来る同級生に憧れを持っていた。それと同時にステージや歌番組で輝いているAYB32のメンバーのことも憧れるとともに羨ましく思う気持ちが強くなっていった。その想いはAYB32に留まらず、他のアイドルグル―プのこともどんどん好きになっていた。
しかし、AYB32は別物だった。転機は高校1年生の時に友達と一緒に受けた俳優事務所のオーディションだった。そのオーディションをきっかけにアイドルになりたい、特にAYB32のメンバーとなってあのキラキラ輝く衣装を着たいと考えるようになった。だが、現実は厳しかった。AYB32は19期生の加入から5年もの歳月を経ても新規メンバー募集は行われなかった。
時とともに年齢が増していく状況で私は焦っていた。高校3年生のある日、進路希望調査書を提出しなければならなかった。私は、東京の大学であること、そして小学校の時から大好きだった理科を学べる理学部を専攻できる「東京中央大学理学部」と書いた。正直、私の学力では到底叶わない進路だったが、受験日まで猛勉強し、何とか現役合格を得ることが出来た。自分でも驚いた。
やがて春になり大学ライフを楽しむと共に友達も出来始めた。AYB32になりたいという夢が薄れる中、たまたまヲタク友達に誘われていったライブの後半の大きなモニターに映し出された文字を今でも忘れない。
「6年振りの新メンバー募集」「AYB32 第20期生オーディション決定」
家に帰ってすぐに両親に告げた。
「私、AYB32のオーディション受けたい!AYB32になる!」
しかし、両親の反応は芳しいものではなかった。それは、私が大学に入学したばかりであること。そして、何より一度、俳優事務所のオーディションを経験として受けたものの芸能界への不信感があったからだ。だが、そんなことは予想していた。




