第23話 二軒目
「ここにします」
家から少し離れた場所。
畑の日当たりを邪魔しない。
水路からも離れている。
《地盤:安定》
《傾斜:小》
《降雨時浸水危険:低》
「何見てる?」
ガランさん。
「地面」
「地面に何か書いてあるのか?」
「秘密です」
「アルドと同じ反応された」
「聞くな」
「分かった」
◇
樹木地帯。
丸太を集める。
「俺も持つ」
ガランさん。
二人で一本。
「軽い!」
「軽くはない」
「一人より!」
今までは引きずって、休んで、また引きずった。
人手。
それだけで違う。
「人って便利……」
「言い方」
アルドさんも。
もう一本。
「村作った方が早いんじゃないか」
「村?」
「冗談だ」
でも。
少しだけ。
その言葉が残る。
◇
柱穴。
鉄鍬。
速い。
柱を立てる。
アルドさんが支える。
私が土を入れる。
ガランさんが石を詰める。
「もう一本」
三人。
横木も簡単に上がった。
「……早い」
「人手だな」
家を作った時。
一人で横木を上げるために、石を積み。
少しずつ。
肩で。
何度も。
失敗。
今。
「せーの」
上。
終わり。
「ずるい」
「何が?」
「人がいるの」
「今さら?」
◇
斜め材。
「それ必要か?」
ガランさん。
「前に家作った時、ぐらぐらしたので」
「なるほど」
前の失敗が。
今は経験になっている。
壁は葦。
屋根は草。
ガランさんが草紐を結ぶ。
「その結び方」
「荷を縛る時使う」
「教えて」
ほどけにくい結び方。
「すごい」
「商人なら普通だ」
私にとっては新しい。
一人で失敗しながら覚えるしかなかった頃とは違う。
人がいると、知らない方法が入ってくる。
「これ」
私は結び直す。
「合ってる?」
「そこ、逆」
「難しい」
「もう一回」
◇
数日。
一部屋。
簡単な扉。
寝台二つ。
「完成」
中。
立つ。
狭い。
でも。
寝る。
雨。
避ける。
十分。
「宿だな」
「小屋です」
「宿」
「小屋」
「金取れば宿」
「まだ取りません!」
三人で笑う。
◇
遠くから見る。
主人公の家。
物置。
来客小屋。
三つの屋根。
「……増えたな」
「町になってきたな」
「三軒ですよ?」
「最初は一軒だったんだろ」
「はい」
「なら増えてる」
単純な言葉。
でも。
少し嬉しい。
何もなかった荒野に。
人が泊まるための建物まで増えた。
そして。
今回。
一人じゃなかった。
そのことも。
前とは大きく違った。
◇
完成した夜。
試しに。
アルドさんとガランさん。
小屋。
泊まる。
「どう?」
翌朝。
聞く。
「雨降ってないから屋根は分からん」
「寒さは?」
「外よりまし」
「寝台」
「硬い」
「それは私の家も」
「改善しろ」
「そのうち」
ガランさん。
壁。
触る。
「風、少し入る」
「隙間あります」
「全部塞ぐと暑い時困る」
「じゃあこのまま?」
「季節次第」
また。
知らない。
季節。
まだ。
ここ。
長期間。
過ごしてない。
「冬」
ある。
かもしれない。
当然。
気候。
変わる。
「先に考えすぎ?」
「今はな」
アルドさん。
「必要になったら直せ」
それ。
自分。
ずっと。
やってきた。
「そうします」
来客小屋。
完成。
でも。
完成。
終わり。
じゃない。
使って。
直す。
次。
また。
良くする。
建物。
増えた。
同時。
未来の課題。
また増えた。
◇
小屋が完成したあと。
私は。
自分の家。
見る。
「最初より早かった」
「三人いたからな」
それだけ。
じゃない。
「私も、前より分かってた」
柱。
斜め材。
屋根。
葦。
前。
全部。
試す。
失敗。
今。
順番。
ある程度。
分かる。
「成長した?」
「したんじゃないか」
アルドさん。
普通。
言う。
でも。
嬉しい。
この世界。
来た時。
何もできなかった。
今。
まだ。
専門家じゃない。
失敗。
する。
でも。
一回目より。
二回目。
良く。
できる。
「それで十分」
私は。
完成した小屋の扉を。
ゆっくり閉めた。




