第18話 置く場所がない
「……邪魔」
朝。
家の中。
毛皮を避けたら、今度は土芋の籠へ足をぶつけそうになった。
「狭い!」
最初は何もなかった。
寝台。
石の道具。
小さな器。
それくらい。
今は。
金属ナイフ。
鍬。
水袋。
毛皮。
角。
収穫した土芋。
交換用に残している物。
「置く場所がない……」
家を広げる?
少し考えて、やめた。
今の壁を壊して作り直すのは怖い。
「別に作ればいい」
人が寝る必要はない。
小さい。
雨だけ避けられればいい。
「物置」
場所を探す。
家の近く。
水路の邪魔にならない。
畑を日陰にしない。
《地盤:安定》
《降雨時浸水危険:低》
「ここ」
◇
樹木地帯へ。
細い丸太を集める。
石斧。
金属ナイフ。
鉄鍬。
家を作った時より、全部が少し楽。
柱。
横木。
斜め材。
「これは最初から」
前は、家の骨組みが揺れてから斜めの支えに気づいた。
今回は最初から入れる。
「経験」
自分で言って、少し嬉しい。
何も知らなかった時の失敗。
今は使える。
◇
壁は葦。
屋根は草。
人が寝ないなら、壁の隙間も家ほど気にしなくていい。
「でも雨は嫌」
毛皮。
土芋。
濡らしたくない。
屋根は重ねる。
家でやった時と同じ。
下から。
上。
「こっち」
水を少しかける。
一ヶ所。
落ちる。
「漏れてる」
草。
追加。
もう一度。
「大丈夫」
床。
地面へ直接置くと湿るかもしれない。
枝を組み、低い棚。
土芋。
毛皮。
少し浮かせる。
◇
数日後。
「できた」
小さい。
人が寝るには狭い。
でも。
薪。
毛皮。
角。
土芋。
道具。
置ける。
家の中から物を運び出す。
「広っ」
元に戻っただけなのに、すごく広く感じる。
寝台の横。
歩ける。
道具へ足をぶつけない。
「快適」
家。
物置。
二つの屋根。
荒野の中。
「増えたなあ」
何もなかった時は、物がないことに困っていた。
今は、物が増えすぎて置く場所に困っている。
「贅沢な悩み」
そう言って、一人で笑った。
便利になると。
また新しい不便が出る。
でも。
その不便を一つずつ減らすことが。
最近。
少し楽しくなっていた。
◇
物置を使い始めて。
すぐ。
新しい問題。
「どこに何置いた?」
暗い。
小さい。
奥。
毛皮。
手前。
土芋。
薪。
混ざる。
「整理」
棚。
もう一段。
作る。
壁。
枝。
渡す。
軽いもの。
糸。
布。
上。
重い。
土芋。
下。
「これなら」
物置。
ただ箱。
じゃない。
使いやすく。
変える。
家も。
そうだった。
作って終わり。
じゃない。
使って。
不便。
直す。
「生活って、ずっと改造」
独り言。
笑う。
外。
見る。
家。
物置。
小さい。
でも。
役割。
違う。
寝る場所。
置く場所。
「分かれてる」
それだけ。
町っぽい。
少し。
自分。
思う。
町。
見た。
だから。
比較。
できる。
まだ。
全然。
違う。
でも。
最初。
何も。
なかった。
そこから。
二つ。
建物。
「十分」
今日は。
そう思えた。
◇
物置の屋根へ、夜に少し雨が降った。
翌朝。
真っ先に確認。
「……漏れてない?」
中。
毛皮。
乾いてる。
土芋。
無事。
壁際。
一ヶ所。
少し湿る。
「ここか」
外から草を追加。
粘土。
少し。
塞ぐ。
家を作った時と同じ。
完成直後。
一回。
使って。
雨。
当たって。
初めて分かる。
「使ってからが本番」
物置も。
少しずつ。
本当に使える設備へ。
変わっていった。
物置ができたことで、家の中へ雨の日でも作業できる余白が戻った。床へ座り、道具を手入れするだけの場所。それすら以前はなかった。空いた空間そのものが、今の私には新しい生活設備のように思えた。




