第14話 何を買う?
銅貨。
少し。
交換。
残り。
「……」
市場。
立つ。
右。
布。
左。
金物。
前。
食料。
「無理」
「何が?」
「欲しいもの多すぎる」
「全部買えばいい」
「足りませんよね」
「足りない」
「ですよね!」
頭の中に一覧。
塩。
布。
着替え。
鍋。
斧。
鍬。
スコップ。
水袋。
靴。
ロープ。
「多いな」
「全部必要」
「必要と欲しいは違う」
「全部必要!」
「落ち着け」
優先順位。
「一番」
「……掘る道具」
意外。
自分でも。
塩じゃない。
「畑?」
「畑も水路も、ずっと石で掘ってるので」
「なら鍬だな」
◇
金物屋。
鉄。
並ぶ。
「……」
夢の場所。
斧。
鍋。
鍬。
スコップ。
刃物。
「触るなよ」
「分かってます」
鍬を持つ。
「重い」
「柄込みだからな」
値段を聞く。
「……」
「どうした?」
「足りない」
「だろうな」
「高い」
「鉄だからな」
完成品。
無理。
「終わった」
「頭だけなら?」
「え?」
中古の鍬頭。
木の柄なし。
「これ」
「安い?」
「完成品よりは」
値段。
ぎりぎり。
「柄は?」
「自分でつける」
「木ならある」
「固定できるか?」
「石斧作った時よりは何とかなる……と思います」
「……本当に何でもやるな」
「他に人いなかったので」
買う。
鉄の鍬頭。
手に持つ。
「重っ」
「落とすな」
◇
お金。
減る。
まだ少し。
「水袋」
「必要?」
「旅」
「今の粘土器よりは」
「買います」
革。
水袋。
軽い。
「これ、すごい」
「普通だ」
「普通ってすごい」
栓。
ちゃんと閉じる。
揺らしても漏れない。
「これだけで旅が楽」
「だろうな」
塩。
少し。
丈夫な糸。
「布は?」
見る。
欲しい。
でも残り。
「……次」
「斧」
「次」
「鍋」
「次」
「靴」
「次!」
悲しい。
◇
買ったもの。
鍬頭。
水袋。
塩。
糸。
「お金って」
「ん?」
「なくなるの早い」
「使ったからな」
「町怖い」
「違う意味でな」
でも。
嫌じゃない。
今買えなかった。
次。
売る。
毛皮。
角。
土芋。
何か。
もっと。
「また来ればいい」
自分で言う。
「そういうことだ」
アルドさんが頷く。
生産。
売る。
買う。
持ち帰る。
今まで。
全部。
自分で作る。
だった。
これから。
外を使える。
そのため。
自分の場所をもっと育てる。
「開拓」
町と。
繋がった。
そう思った。
◇
買い物が終わったあと。
私は市場の端で荷物を並べ直した。
「これで全部?」
「全部」
鍬頭。
水袋。
塩。
糸。
「少ない」
「金が少ないからな」
「言い方」
でも。
必要。
選んだ。
「本当にこれでよかったかな」
「今さら?」
「布も欲しかった」
「次」
「斧も」
「次」
「鍋」
「次」
「全部次」
「そういうもんだ」
アルドさん。
簡単。
言う。
でも。
その考え。
少し好き。
全部。
一度。
揃える。
必要ない。
今。
一番。
必要。
それ。
次。
また。
改善。
「開拓と同じですね」
「何が?」
「一個ずつ」
家。
最初から。
全部。
なかった。
水。
火。
器。
畑。
家。
一つ。
ずつ。
町。
買い物。
同じ。
「じゃあ次は布」
「売る物作れ」
「頑張ります」
荷物。
重い。
でも。
嬉しい。
帰ったら。
すぐ。
鍬。
作る。
そのことを考えるだけで。
帰り道が少し待ち遠しくなった。
◇
店を離れる前。
私はもう一度、完成品の鍬を見た。
自分が買ったのは頭だけ。
柄もない。
完成品なら、すぐ使える。
「ちょっと羨ましい」
「高い分、手間を買ってる」
「手間を買う?」
「作る時間込みってことだ」
なるほど。
お金。
物だけじゃない。
時間も買う。
今の私には。
お金が少ない。
代わりに。
時間と手を使う。
「それなら、今は頭だけでいいです」
自分で柄を作る。
その分。
別の物を買える。
少しだけ。
買い物の考え方が分かった気がした。




