第28話 貯水槽を直したい
まず。
「中に入る前に確認」
貯水槽の縁へ手を置く。
「《土地鑑定》」
《構造安定性:低》
「低」
嫌な文字。
さらに。
《局所崩落危険:あり》
「入っちゃ駄目なやつ」
私はすぐに降りる案を捨てた。
昔の石造りだから丈夫。
なんて保証はどこにもない。
まず外からできること。
「崩れそうなところ、分からない?」
意識を集中する。
《北側壁面:不安定》
《西側上部:亀裂多数》
「そこには近づかない」
南側。
比較的状態がいいところから、中の土を少しずつ掻き出す。
長い枝の先へ籠のように草を巻きつけた。
「……道具って言える?」
即席。
土を少し引き寄せる。
外からすくう。
とにかく中へ降りない。
何日もかける。
「全然減らない」
当然だった。
大きい。
水瓶とは比べものにならない。
全部綺麗にする必要はないと気づくまで、さらに時間がかかった。
「水を溜められるだけでいいんだ」
底全部を出す必要はない。
崩れた石。
大きなゴミ。
それだけ取り除く。
◇
次は亀裂。
「これ、粘土で塞げないかな」
水路と同じ。
石の隙間へ粘土。
試す。
小さい亀裂なら埋まる。
でも。
大きなところ。
粘土だけでは落ちた。
「ですよね」
小石を詰める。
その上から粘土。
草を少し混ぜる。
「壁の時と同じ」
今までやったことを組み合わせる。
完璧ではない。
でも。
少しずつ穴は減った。
「これ……本当に貯まるかな」
まだ分からない。
ただ。
昔の設備が。
少しずつ自分の手で直っていく。
奇妙な感覚だった。




