第27話 古い貯水槽
石畳を見つけてから数日後。
私は少しずつ道の先を調べていた。
毎日ではない。
畑仕事が早く終わった日。
薪に余裕がある日。
ほんの少しだけ。
「《土地鑑定》」
《人工構造反応:前方》
道に沿って歩く。
やがて。
《地下空間反応:あり》
「空間?」
初めて見る情報だった。
地面を叩く。
普通の音。
見た目では分からない。
「掘る?」
迷う。
地下へ落ちたら怖い。
少し離れたところから浅く掘ることにした。
土を削る。
やがて、大きな石の縁が出た。
「丸い?」
さらに周囲を出す。
完全な円ではない。
大きな四角に近い。
中央部分。
石板が崩れて穴になっている。
「うわ……」
覗き込む。
暗い。
でもそれほど深くない。
底まで私の背丈より少しあるくらい。
中は土と石でかなり埋まっている。
「何これ」
土地へ手をつく。
意識。
できるだけ構造を知りたい。
《地下構造物》
《内部容量:大》
《水分反応:微》
《流入経路痕:あり》
「水……?」
私は穴を見る。
大きな石造りの箱。
水。
流入した跡。
「貯水槽?」
昔、水を溜めていたもの。
そう考えるとしっくりきた。
壁面を見る。
石の隙間。
亀裂。
底には土。
「壊れてるけど」
頭に浮かぶ。
水路。
水瓶。
畑。
今は少量の水を運んだり流したりしている。
もし。
こんな大きな場所に水を貯められたら。
「……使える?」
私はしばらく穴を見つめた。
昔の誰かが残したもの。
そのまま使えるわけではない。
でも。
直せるなら。
「やってみたい」
地下の謎を知りたいからではない。
初めて。
遺跡を。
今の暮らしに使ってみたいと思った。




