第26話 埋もれた道
すぐに大規模な発掘をするつもりはない。
そんな余裕も道具もない。
でも。
「少しくらいなら」
気になって仕方ない。
水路補修を終えたあと、昨日見つけた人工物の周囲を掘ることにした。
尖った石。
籠。
土を少しずつ除ける。
人工物の表面が広がる。
「一枚じゃない」
平たい石。
その隣にも。
さらに隣にも。
同じくらいの高さで並んでいる。
「これ……床?」
掘る。
横へ。
まだ続く。
反対側。
そちらにも。
あるところで端が出た。
「細長い?」
幅は数歩。
長さはまだ分からない。
表面の石は所々割れているけれど、不自然なくらい平らに並べられている。
私は立った。
少し離れて見る。
「道……?」
そう考えると、急にそう見えた。
地面の下に埋まった石畳。
どこかへ続いていた道。
「昔、人がここを歩いてた?」
自分しかいない荒野。
そこに。
昔の誰かが歩いた道。
不思議な感じだった。
◇
道らしきものを少しだけ追う。
全部掘り出す必要はない。
数ヶ所。
土地鑑定で反応を確かめて、少し掘る。
また石畳。
さらに先。
また。
「本当に続いてる」
方向は。
拠点の地下構造物から離れるように伸びていた。
その先には何がある?
「……今日はここまで」
気になる。
でも、畑も火もある。
昔の誰かの生活より、今の私の生活が先。
その日は目印だけつけて帰った。
ただ。
家から見える荒野が。
前とは少し違って見えた。
何もない場所ではない。
土の下には。
まだ昔の暮らしが眠っている。




