↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
技能《土地鑑定》で異世界開拓! ~剣も魔法も選ばず、何もない荒野に一から住処を作ります~  作者: 深夜のトースト
何もない荒野に、暮らしを

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/67

第19話 家のある朝

 目を覚まして、最初に見えたものが土ではなかった。


「……屋根」


 葦と草を重ねた、私が作った屋根だ。


 しばらくぼんやりと見つめてから、身体を起こす。昨日まで使っていた草だけの寝床とは違い、枝を組んで作った寝台は身体が地面から少し浮いている。


 腰は痛い。


 肩も痛い。


 でも、前よりずっとマシだった。


「家ってすごい」


 扉を開ける。


 朝の光が差し込んだ。


 外には焚き火。少し離れたところには畑。その隣には水瓶がある。


 さらに振り返れば、家。


「……ほんとに家ある」


 昨日も何度も見たのに、まだ嬉しい。


 まず畑へ行く。


 六つ植えた芋は、その後すべて芽を出していた。最初に出たものは、もう指先どころではない。小さな葉を何枚か広げている。


「順調……なのかな」


 土地へ手をつく。


「《土地鑑定》」


《表土水分:少》


《植物生育適性:中》


《地下植物反応:六》


《生育反応:良》


「良!」


 思わず声が弾んだ。


 農業のことなんて相変わらず分からない。でも少なくとも今すぐ枯れそうではないらしい。


 水瓶から水をすくい、少しずつ与える。


 柵にも異常なし。


 次は火。


 灰を掘ると、奥に赤い部分が残っていた。


「よし」


 枯れ草と細い枝を足して火を戻す。


 以前は起きた瞬間から、水、食料、火、寝場所。全部が不安だった。


 今は。


 水がある。


 畑がある。


 火がある。


 そして帰る家がある。


「……生きるだけじゃなくなってきたなあ」


 焼いた芋をかじりながら、私は家を見る。


 ちゃんと暮らしたい。


 そう思った。


 まず欲しいものは――。


「毎日、焼き芋か焼いたお肉なの、そろそろ飽きた」


 自分でも贅沢になったと思う。


 少し前まで食べられるだけで感動していたのに。


 でも、便利になれば次が欲しくなる。


「煮物……スープ……」


 頭に浮かぶのは、温かい汁。


 そこで一つの道具が浮かんだ。


「鍋」


 まだない。


 ずっと欲しいと思っていたものだ。


 私は水場の近くにある粘土を見る。


「次は、鍋だな」


 家ができた最初の朝。


 私は、生きるためではなく。


 少しだけ美味しく暮らすためのものを作ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。