第17話 壁と屋根
骨組みができた。
次は壁。
「木を全部並べるのは無理」
家の壁全部を丸太で作ろうと思ったら、あと何本木を切ればいいのか分からない。
今の石斧では、とてもやる気になれなかった。
「葦かな」
籠を作った時。
細い葦を交互に通した。
あれをもっと大きくすれば、壁になるかもしれない。
◇
縦に細い枝を何本か立てる。
その間へ、水に浸けて少し柔らかくした葦を通していく。
前。
後ろ。
前。
後ろ。
「籠より楽かも」
形が歪んでも問題ない。
穴さえ少なければいい。
途中で葦が折れる。
交換。
紐が切れる。
結び直す。
少しずつ。
壁が広がっていく。
そして一面ができた。
「……壁!」
ただし。
隙間だらけ。
風が普通に通る。
「これじゃ寒いよね」
どうする。
土?
私は水場の近くにある粘土質の土を見る。
「塗ってみる?」
◇
粘土質の土へ水を混ぜる。
手でこねる。
葦の壁へ塗る。
べちゃ。
「…………」
落ちた。
「柔らかすぎ?」
水を減らす。
もう一度。
今度はつく。
でも厚くすると落ちる。
「何か混ぜた方がいい?」
周囲にある乾いた草が目に入る。
「……これ?」
根拠はない。
土だけより引っかかりそうな気がする。
草を短くちぎって粘土質の土へ混ぜる。
こねる。
壁へ押しつける。
「お」
さっきより落ちにくい。
「いけそう」
もちろん綺麗ではない。
表面は凸凹。
場所によって厚さも違う。
それでも隙間は少しずつ塞がっていった。
全部の壁を土で覆うほど材料も時間もないので、風が入りやすそうな場所を中心に塗る。
「これだけでも違うはず」
たぶん。
◇
屋根。
ここが一番怖かった。
今の雨宿り小屋で、屋根の大切さは十分知っている。
「平らだと水が溜まるよね」
だから今回は、真ん中を高くする。
短い柱を二本追加して、その間へ長い木を渡す。
そこから左右へ葦を斜めに並べる。
「家っぽい……」
三角の屋根。
少なくとも今の平たい屋根よりは、雨が流れそうだ。
その上へ草や葦を束にして載せる。
下から。
少し重なるように。
「雨って上から流れるから……こうかな」
下の束の上へ、次の束。
その上へさらに次。
合っているかは分からない。
でも、水が隙間へ入りにくいように考える。
一列。
二列。
三列。
反対側も。
何度も材料を取りに行く。
籠がなかった頃なら、もっと大変だった。
「籠、本当に偉い」
運ぶ。
載せる。
縛る。
また運ぶ。
数日かかった。
◇
ようやく屋根が全部覆われた日。
私は小型の器へ水を汲んだ。
「試してみよう」
屋根へかける。
ばしゃ。
水が流れる。
地面へ落ちる。
「中!」
慌てて入る。
見上げる。
「……大丈夫?」
一滴。
ぽた。
「あ」
漏れた。
「やっぱり」
でも一ヶ所だけ。
外へ出て、その辺りへ草を追加する。
もう一度。
ばしゃ。
中へ。
「…………」
今度は落ちない。
「できた?」
まだ本当の雨は分からない。
でも。
「前よりは絶対いい」
壁。
屋根。
家の形。
あと足りないものは。
私は大きく開いた入口を見る。
「……扉か」




