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技能《土地鑑定》で異世界開拓! ~剣も魔法も選ばず、何もない荒野に一から住処を作ります~  作者: 深夜のトースト
何もない荒野に、暮らしを

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第14話 家を建てたい

 朝。


 畑の横に置いた水瓶から小さな器で水をすくい、芽の周りへ少しずつかける。


「三つとも無事」


 昨日までに芽を出した三つは、今朝もちゃんと緑色だった。


 残りの三つはまだ土の中。


 水瓶のおかげで、水やりのたびに水場を往復しなくてもよくなった。


「これは本当に作ってよかったなあ」


 水瓶を軽く撫でる。


 歪んでいる。


 少し水も染み出す。


 それでも便利なものは便利だ。


 そのまま畑の柵を確認し、拠点へ戻った。


 籠。


 二つの小さな器。


 焚き火。


 草の寝床。


 そして、岩の間に作った簡単な屋根。


「……増えたなあ」


 最初は何一つなかった。


 今では、自分で作ったものがいくつも並んでいる。


 ただ。


「住む場所だけ、あんまり変わってないんだよね」


 私は頭上を見た。


 葦と草で作った屋根。


 一度雨には耐えた。


 でも雨漏りはするし、壁もない。風が吹けば普通に入ってくる。


 何より。


「これ、家じゃないよね」


 どう見ても雨宿りの場所だ。


 ここまで色々作ってきたのに、私はいまだに地面の草の上で寝ている。


 その事実に今さら気づいてしまった。


「……家、欲しいな」


 口に出した途端、一気に欲しくなった。


 雨が降っても濡れない。


 風が吹いても寒くない。


 道具を置いておける。


 寝る時に少しくらい安心できる。


「作れる?」


 誰も答えてくれない。


「……分からないなら、やるしかないか」


 私は立ち上がった。


     ◇


 まずは場所。


 今の拠点をそのまま大きくする方法も考えた。


 二つの大きな岩があるから、それを壁代わりにすれば材料も少なく済みそうだ。


 でも、すぐ近くには地下構造物もある。


 正体の分からないものの真上に家を建てるのは、なんとなく嫌だった。


「もう少しこっちかな」


 水場から少しだけ高い場所。


 畑にも近い。


 地面へ手を置く。


「《土地鑑定》」


《地盤:安定》


《傾斜:小》


《降雨時浸水危険:低》


「いい感じ」


 もう少し意識を深くする。


 以前見つけた地下構造物が、この辺りまで続いていないか知りたい。


《地下構造物反応:なし》


「よし」


 ここならいい。


 今の屋根からもそれほど離れていない。


 家が完成するまでは、今の場所で寝ればいい。


「大きさは……」


 地面を歩く。


 縦。


「一、二、三……」


 三歩ちょっと。


 横。


「一、二、三、四」


 四歩。


「一人なら十分かな」


 大きな家なんて必要ない。


 寝る場所。


 道具を置く場所。


 雨の日に座っていられる場所。


 それだけあればいい。


 石を四隅に置く。


 四角。


 かなり歪んでいる。


「まあ……家もたぶん歪むし」


 気にしない。


 問題は。


 私は周囲を見る。


「何で作るの?」


 土。


 草。


 葦。


 石。


 それから北西にある低木。


 屋根くらいなら作れる。


 でも、家を支える柱にはもっと丈夫な木が必要な気がする。


「低木だけじゃ無理だよね」


 北西を見る。


 低木地帯より先。


 まだほとんど探索していない場所。


「……行ってみるか」


 家を作るなら。


 まずは材料探しだ。


     ◇


 翌朝。


 火と畑を確認してから、石のナイフと籠を持って北西へ向かった。


 角ウサギの活動地帯。


 低木地帯。


 そこをさらに越える。


「思ったより遠いな」


 土地の様子が少しずつ変わっていた。


 茶色一色だった地面に草が増え、ところどころ背の高い植物もある。


 地面へ手を置く。


「《土地鑑定》」


《植物生育適性:中》


《周辺植生:増加》


 さらに知りたい。


「木……大きい木はない?」


 少し待つ。


《樹木反応:北西方向》


「ある!」


 思わず立ち上がった。


 さらに歩く。


 そして。


「おお……」


 ようやく見つけた。


 森。


 ……とは到底呼べない。


 木が十数本、まばらに生えているだけだ。


 それでも低木しか見ていなかった私には十分だった。


 太いものでも、私の腕くらい。


 背丈は私の何倍もある。


「柱になりそう」


 問題は。


 石のナイフを見る。


「これで切るの?」


 試しに一本。


 石の刃を幹へ当てる。


 ゴリッ。


「…………」


 少し傷がついた。


 もう一度。


 ゴリッ。


 さらにもう一度。


「これ一本で日が暮れるんじゃ……」


 家への道は、思った以上に長そうだった。


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