ロールキャベツ
ははH
『ギィィィィィィィッ!!』
時喰らいが咆哮を上げると、周囲の時間が狂い始めた。
魔王の作った焼きそばが「炒める前のキャベツ」に戻り、勇者アーサーの鎧が「鉄鉱石」へと退化していく。
「な、なんじゃこりゃ!? 我の焼きそばがぁぁ!!」
「俺の鎧が! いや、筋肉までヒョロヒョロの村人Aの頃に戻っていく!?」
時喰らいの能力は「対象の時間を奪い、無に還す」ことらしい。
このままでは、温泉宿の建物も、俺たちが過ごした思い出も、すべて「存在しなかったこと」にされてしまう。
『ふざけないで……! 私が徹夜で計算した売上もゼロになるってこと!? 絶対に許さない!!』
アイリスがブチギレた。売上が消えることが一番の地雷だったらしい。
『ナルセ! 防水シートやってる場合じゃないわよ! 合体してあいつの「時間」ごとぶっ斬るわよ!!』
(時間ごと斬るってどうやるんだよ!? まだそんなスキル覚えてないぞ!)
俺は急いでプールの底からスライムの体を収縮させ、元のギャラクシースライムの姿に戻った(プールで泳いでいた機械ドワーフたちは地面にビターンと落ちた。すまん)。
俺の体内に、アイリス(双極の星剣)が収まる。
だが、時喰らいの圧倒的な時空魔力の前に、俺のギャラクシーボディすらも「ただの青い泥」へと退化しそうになっていた。
(ヤバい……押し負ける! 時間の逆行を止められない!)
その時だった。
「オーナー! 諦めるな! 俺の『勇者の時間(レベルアップの記憶)』を貸す!」
「フハハ! スライムよ、我の『魔界を統べた数万年の時』をくれてやるわ!」
『我の悠久の命も持っていくがよい!』
「私の皇女としての誇りも!」
アーサー、魔王、天竜、ステラ。
そして、フェスに参加していた全次元の客たちが、自らの「時間(魔力)」を俺に向けて放出したのだ。
えーなー(高音)




