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ただいま参りました電車は「特急『スライム・エクスプレス』」

やりますねーの意味をおしえてくれ

「街を丸ごと生体兵器にするって……スケールがデカすぎるだろ! 元・しがない営業職の俺が背負っていい話じゃない!」


俺は水晶蜘蛛クリスタル・アラクネの残骸が転がる空間で、でろーんと体を広げたまま頭を抱えた(頭はないけど)。


『泣き言を言わないの! エーテル大迷宮の地下には、世界最大級の「魔力脈レイライン」が走っているわ。ギデオンは迷宮全体に錬金術の陣を描き、街にいる数十万人の魔力と命を吸い上げて、神に等しい力を持つゴーレムを創り出す気よ!』

(そんなの、どうやって止めるんだよ!)

『決まってるでしょ、ヤツの本体をぶん殴って物理的に止めるのよ! 急いで地上に戻るわよ!』


その時、ズズズズ……と迷宮全体を揺るがすような地鳴りが響き渡った。

周囲の美しいクリスタルが不気味な赤紫色に変色し、ひび割れ始める。迷宮の壁面が、まるで生き物の内臓のように脈打ち始めたのだ。


「うわっ、もう始まってるのか!?」

『ダンジョンそのものを改造して、迷宮を「胃袋」にするつもりね。モタモタしてたら消化されるわよ!』


俺は急いでアイリスを体内に収納し、落ちていたローブと仮面を再び被った。

だが、のんびり歩いて地上1階まで戻る暇はない。


「アイリス、新しいスキル【氷雪世界フリーズ・ドメイン】、ちょっと試してみるぞ」

『え? どうする気?』


俺はローブの下でスライムの体積を限界まで横に広げ、「ソリ」の形状に変化させた。

そして、自分のお腹の下に強烈な冷気を放ち、石畳をツルツルに凍らせる。


「名付けて、特急スライム・エクスプレスだ! しっかり捕まってろよ!」

『私、手なんてないわよぉぉぉっ!?』


凍らせた床の上を、俺自身がソリとなって猛スピードで滑り出した。

スライム特有の柔軟なカーブ性能と、アイリスの無限の冷気を組み合わせた超速移動。襲い掛かってくる変異モンスターたちを、すれ違いざまに【フロスト・ウィップ】で弾き飛ばしながら、俺たちは地上への螺旋階段を爆走した。



「ど、どけええええっ!!」


迷宮の入り口から、弾丸のようなスピードで飛び出したのは、ローブを着た謎の氷の塊(俺)だった。

勢い余ってギルド前の広場に突っ込み、噴水の縁に激突してようやく停止する。


「ぐえっ……」

『……目、目が回る……(剣だけど)』


ローブの中でぐちゃぐちゃになった体を必死に整えながら立ち上がると、エーテルの街はすでに異常事態に陥っていた。

地面が絶えず揺れ、大迷宮の入り口からは、赤い瘴気とともに異形の魔物――機械と肉塊が融合したような「キメラ・ゴーレム」たちが溢れ出してきている。


「おい、冗談だろ……! 防衛線を張れ!!」


ギルドから武装した冒険者たちが飛び出してくるが、キメラ・ゴーレムの装甲は硬く、普通の剣や魔法では歯が立たない。


「くそっ、俺の大剣が弾かれただと!?」


悲鳴を上げたのは、なんと酒場で俺に絡んできた大男、ガストンだった。

彼の自慢の大剣が、キメラの腕に当たってポッキリと折れている。キメラがガストンに向かって、鋭い爪を振り下ろそうとした、その瞬間。


「――伏せろ、デカブツ」


俺はスライムの脚力で跳躍し、ガストンの前に割り込んだ。

そして、ローブの袖からアイリスの刀身を突き出し、キメラの腕を真っ向から受け止めた。


「お、お前……酒場の時の、冷え性の……!?」

「怪我はないな。下がってろ」


俺は低い声で言い捨てると、刀身に魔力を込めた。


「凍てつけ――!」


瞬間、アイリスから放たれた【氷雪世界】の冷気が、扇状に広がる。

迫り来ていた十数体のキメラ・ゴーレムが、一瞬にして足元から凍りつき、美しい氷像へと変わった。


周囲の冒険者たちが、言葉を失って俺を見つめる。


(……ふぅ、決まったな。ちょっとヒーローっぽかっただろ、アイリス)

『……馬鹿。調子に乗ってると、本命が来るわよ』



「素晴らしい。やはり君は、私の期待を裏切らない」

声とともに、

空から、拍手の音が響いた。

見上げると、宙に浮く巨大な錬金術の陣(魔法陣のようなもの)の上に、黒いコートの男――隻眼の錬金術師ギデオンが立っていた。


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