第四部 進むは迷宮の森
四神のステンドグラスが、どこまでの意味を持つのかわからない。
もしかすると、ただ宗教上の理由でそうしたのかもしれない。
でも、あいつに限ってそれはない気がする。
あんな利己的な奴が、神に縋ってるなんて思えない。少なくとも、記憶の中では。
通信機はクオが管理してるから、念を飛ばして会話しよう。
「コナ、無事?」
『はい。しばらく精霊と戦っていましたが、バロンさんが全て倒してしまいました。
現在、一階の中央で見張りをしています。
何かありましたか?』
「いや、ステンドグラスについてなんだけど……僕の勘だし確定ではないんだけど」
この状況下で信用できるほど根拠のある情報にはならないかもしれない。
「でも、確かめて欲しいんだ。
それ、何か象ってない?」
『……そうですね。
なんやらウネウネしていますが、白は虎で、赤は鳥……緑は、ドラゴンでしょうか?黒は、亀ですが布か何かを纏ってます』
「ありがとう」
……ビンゴだ。
「じゃあ、その上に黄色のものって見えない?」
『黄色……ですか。私の見る限りではないですね。
ただ、時間が経って太陽の光の当たる角度が変わっている事くらいですかね』
「それだ」
『何がですか?』
「説明すると長くなるから省略するけど、午後十二時。この時間に、おそらく“あいつ”が現れる。
もし現れたら、ひとまず逃げて。コナとは相性が悪すぎる」
『わかりました』
そこで、念を送るのをやめにした。
随分と安直だが、こちらに読ませようとしているのならば妥当な難易度の謎と思うべきか。
キリュウはおそらく、短期決戦で来る。
実際に対峙したことは無いけれど、スインを見ていればよくわかる。
彼ら被験体は長時間活動する様に出来ていない、と。
強大な力故か、それを抑えつける為か。
どちらだとしても余り変わりはないが。
どちらにしても、全員に伝えておこう。
僕は図書館を出て、クオにその旨を伝えに行った。
その時、僕たちは隣町へ足を踏み入れていた。念の為、道順を伝えてから一番後ろを歩く。
幸か不幸か、その行動に意味があってしまった。
この国の片隅を抜け出して、“破壊神”はやって来た。
おそらく、二千メートル先。
あの人にとっては、数秒に等しい距離だろう。
この街にだけは、近づけさせられない。
僕は走った。あの人と鉢合うように。それでいて、方向転換してもらえる様に。
こちらも向こうも近づいているせいで、感じる妖気はどんどん大きくなっていく。
僕を見た時、その人は立ち止まった。




