第二部 いざ
二日目:AM九時
こんにちは、ドラセナです。
キメラの行動を抑えつつ、僕たちはフィラの指示を聞く。
『急な大量発生だったけど、無限なんて事はあり得ないからね。キメラも夜のうちに随分減ったみたいだよ。あとは牛たちにお任せして大丈夫だと思う』
フィラは、気づけば精霊の事をキメラと呼ぶようになっていた。本人曰く、『あんな気色悪い場所で作られたものなんて精でも霊でもないだろ』とのこと。
『了解です。では……』
『今日はキリュウを潰す。僕も行くよ』
『分かりました』
僕が研究所の方に足を向けると、同じ様にフィラの言葉を聞いていたフウワさんも動き出す。
「いってらっしゃい〜」
と、テイラーさんが道を作ってくれる。
「ありがとうございます」
「“あれ”は中々強敵みたいだけど、大丈夫そう?」
「……まぁ、最悪策は無い訳ではありませんし」
「ふぅん……」
テイラーさんは僕の瞳を覗き込む。
「じゃあね、真面目君」
「ええ」
十二時までは少し時間があるので、ゆっくり歩いて行くことにした。この景色をもう一度見れる保証なんて無いし。
二日目:AM十一時
僕、フィラは改めて研究所を見つめる。
「……手筈通りに行くよ」
今度は、周りに仲間たちがいる。テイラーの分析曰く、例の結界には建物内で使った技を記録する能力もあるらしい。嫌な勘は当たってた。
だから、まずは珍しい技を持ってないメンバーが行って……なんとかキリュウを外に出さないと行けない。
ただ、一つ懸念があるとすれば……結界を張っている能力者がその内容を変更する事だろう。だけど、その心配は要らなくなった。
『ありがとう、さかにゃ』
『ふっふっふ。これこそがさかにゃの本職!にゃ!』
例のさかにゃは僕と別れた後こっそり研究所内を探り、結界の能力者に接近して……なんとそのまま攻撃してしばらく動けなくしてみせた。
最も、そんな状況下でも結界を解かない能力者も流石としか言いようが無いけど……。
「よし、僕、レオン、コナ、フウワでまずはキリュウを研究所の外に出すよ。言った通り、キリュウは技に適応して来る可能性がある。だから、奥の手はトドメの時に」
みんなは静かに頷く。
「……よし、行くよ」
静かに研究所内に侵入すると、僕に呼応する様にすぐにキリュウが現れた。
「昨日は邪魔が入ったけど……今回は本気だからね?」
キリュウは建物ごと焼き尽くす勢いで技を放って来た。でも……
「旋風!」
フウワの風はそれの向きを変える事なんて容易かった。
「うっざ……」
キリュウは防御体制に入った。




