第三部 switch
色々察したのか、みんなは他の部屋に行った。
僕とスインは椅子に座り、リウェは浮いて話し始めた。
「えっとまずはだね、スイン、キミの両親について、キミ自身どれくらい知ってるの?」
「……なんとなく、自分とは血が繋がって無いって気はしとった。子供の頃の記憶はごっそり無いしな」
「ま、そんな感じだよね〜。僕がちゃ〜んと話すよ。
スインはキミの本名じゃないし、元々アインだった訳じゃ無い。ボクが何もしなけりゃ、キミは『ミソラ』として生きていた筈だよ」
「……ミソラ」
「そして、ミレイの妹として」
「……っ……」
かつて無い程スインの目が大きく見開かれた。思わず、
「スイン、無理に話さなくて良い。聴いてるだけで良いから」
と、スインとリウェの間に入った。僕はスインのいる後ろを見れなかった。
「ボクはどっちとでも続けるんだけど。
キミの本当の父親は普通の人間だけど、母親は“研究所”で働いてたんだ。でも母親は中々優秀な能力を持っていてね、働く側では惜しいと、“研究者”は思ったみたい。だから「もう良いだろ。大体分かる」
やたらハイテンションで次々と残酷な事実を並べていくリウェに、キリュウと同等かそれ以上の嫌悪感を感じているのが分かる。スインはとっくに大切な人になっていたらしい。僕の中で。
「はいはい。じゃあ端折って、ミソラは研究所で『六番』になったけど、そこまで強くないと判断された。だから、新しい両親に預けようとしたんだ。彼らのかつての子供と同じ……アインと名付けてね」
リウェは静かに続ける。
「でも僕も色々あって、“宿主”が必要になっちゃってさ。もう一人子供が必要になったんだよね」
「でも、そっちをスインにすれば良かっただけじゃないか」
「まぁこれはボクの能力のせいだね。死ぬ筈だった元の『アイン』を死なせない事でボクは上手く入り込んだんだし」
「……まぁ、時の館の主人って聞いた時点で、そんな事だろうと思ったよ」
「まぁ、ボクが言いたいのはこれだけ!まだ完全に馴染んで無いから、そろそろ交代の時間だね。じゃあね〜!」
「……なんで僕たちに教えた?」
「別に……『怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』なんてね」
……おちゃらけているけど、教養はあるらしい。
アインに戻ると、そのまま眠り始めた。
スインはアインをソファに寝かせた。表情は見えない。




