第二部 trust
それを聞いた瞬間、悪寒が全身を走った。恐怖?嫌悪感?どれも腑に落ちない。でも、この女性はスインに似てなくもないし、所々が僕に似過ぎていた。
スインはこの事を知っているのだろうか?……どちらにせよ、やたら僕に馴れ馴れしかったのは本能とでも言うべきか。
「彼女は“精神体”の“受け皿”として非常に優秀だった。勿論、お前もな」
「じゃあ、僕のこの意思は他人のものなの?」
残酷な宣告をされている筈なのに、酷く客観的だった。
「いや、お前はそうする前に逃げた」
「追いかけなかったの?」
「単純に居場所が分からなかったんだ。当時は“首輪”を付けていなかったからな」
「……ふぅん」
頭が上手く回っていないのか、自分に何の感情もない様に思えた。
「で、キリュウは元々精神体って奴で、受け皿が僕って事?」
「そうなるな」
「僕をこれからどうする気?」
「逃す訳無いだろ?」
「だろうね。でも、僕は抗うよ。フィラとして。それに、そのキリュウとやらもしばらくは動けないだろうしね」
「どう言う意味だ?」
「悔しいけど、助っ人は結構有能なんだ。ねぇ、レオン?」
僕は真後ろを向く。レオンが文字通り飛んで来る。
「だな。フィラ、見たいものは見れたか?」
「まぁね。……しょうもないものだったよ」
「じゃ、もういいな?」
「うん」
僕たちの会話中にも、追手が迫って来ていた。
「悪いけど、無駄だよ」
僕たちは瞬間移動した。
着いたのは、拠点にしていた場所。
「サンキュー、助かったぜ」
レオンの言葉に、瞬間移動の使い手、シンはそっぽを向きながらも、
「ああ。あのチャラいののお陰だけどな」
妖気的に、帰って来てるのはテイラーと……スインだ。
「師匠や〜。無事で良かったわ。無茶するんかと」
当のスインはいつもの如く話しかけて来る。
「僕がして来たのは下見だよ。……やっぱ、師匠って言うのやめてくれる?」
「何でや?今更やん」
「……落ち着かないし」
この真実は、スインに言うべきじゃない。二人は、姉妹であるべきだ。
「……師匠、何、見て来たん?」
「別に、キメラばっかりだったよ」
その時、ゆっくりと足音が近付いて来る。
「嘘……ですよね」
そこにはアイン。ギリギリ意識を保っている様にも見えた。これは観念するしかないらしい。
「ねぇ、スイン」
スインの耳がピクリと動く。
「僕たち、似てると思わない?」
「……っ……」
そんな僕たちの会話に、『リウェ』が割って入って来る。
「ボクがちゃんと説明してあげるよ!スインの真実を、ね」




