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フォニックス オワリノハジマリ  作者: ことこん
第九章 欲しいものは
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第四部 Replicant

 スインたちを置いて、僕は建物の小さな一部屋……レオンのいる部屋に行った。

ドアを開けるとやっぱりレオンは椅子に座ってソワソワしていた。

「……大丈夫か?」

その問いかけに応じる代わりに、ベッドの縁に座る。

「まぁ、僕が作りものなのは分かってた事だし、今更特に思うことなんて無いよ」

「そうじゃねーよ。……俺しか居ない時ぐらいは、正直になれよ」

レオンは時々、やけに鋭いから困る。それが大体重要な時だから、余計に。

「……やっぱり、寂しいよ、そりゃ」

レオンは僕の隣に座る。

「そうか、……気休めにしかならないけど、俺だってみんなとの違いで今でも悩むぜ」

「……だよね。僕は恵まれてるよ、本当。だからこそ、この環境と自分が釣り合ってない気がして……怖いんだ」

「フィラでもそう思ってたんだな」

「僕だって人間なんだし……いや、まぁ、それで良いのか……?」

不意に、『自分は人間である』という定義の揺らぎを感じる。

おそらく分かりやすく困惑してしまった僕を見て、

「作られたにしても、十割人間の要素で作られてるんだからそこは間違いねーだろうよ。俺とかキョンシーの人とかの方が怪しいまであるぞ」

「まぁ……確かに」

「まぁ、フィラは俺の事も人間だと思ってくれてると信じてるけどな」

「当たり前だろ」

「だからフィラを信じるぜ俺は。……中身が誰でも、どんな姿になっても」

「そう」

こんなにも強い信頼の言葉は、他にあるのだろうか。

目を合わせられなくなった僕の頭を、硬い手が撫でる。傷付けないよう、浅く、そっと。

「フィラ」

頭の手が無くなって、代わりに腰に腕を回される。

「何」

急に慣れない体勢にされて、思わず語気が強くなる。

「このタイミングで言うのは狡いし、状況が状況だけどさ、伝えられないままになるのも嫌だから、言う。

信じて貰えないかもしれないけど、俺は……フィラが、好きだ。勿論、恋愛的に、」

「は?」

突然の甘ったるい言葉に、脳が追い付かなかった。

「……返事とかが、欲しい訳じゃないから、いいけど」

分からない分からない。小説でこう言う類の表現は結構読んだ事はある。でも、それが意味のある行為だとは思えないでいた。

急に触れられている所が熱く感じた。これが……恋ってやつなのか?

「……馬鹿」

「……だよな、俺らはあくまで仲間で「違う」

意を決して言う。

「レオンの癖に、先に言うなんて……」

「何だよそれ……って、え?」

「お陰で、意識しちゃうじゃないか、馬鹿」

どうか、この感情は『フィラ』のものでありたい。

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