第五部 にゃ
そっと歩いて行くと、生き物の唸り声が聞こえ始めた。どうやら通路に沿って牢屋が設置させているらしかった。こんな無機的な通路が動物園染みているのには違和感があるけど。気配を消しつつも様子を伺うと、さまざまな種の動物、と言ってもキメラたちが殺し合いをしている牢屋があった。
弱肉強食を短絡的に表現している様で、強者と思われる存在が死骸を食い散らかしていた。
「……これで、強いのを作ろうってか」
もしかして、番号付きのあいつらも……いや、考えないでおこう。僕には関係ないし。
その中の小さな一匹が、泣きながら逃げ惑っている。二頭身で二足歩行の、猫……?でも前脚というか腕は魚のヒレだ。
「にゃーーー!死ぬぅ!死ぬーーー!」
いっそのことギャグ漫画に出て来てくれた方が納得するよ、色々と。ま、とりあえずここはスルーした方が良さそうだ。
と、通り過ぎようとすると、その猫的な奴はこちらに気付き、
「そこのーー!助けろにゃーー!」
うるさいな、これで気付かれたらまずい。でも、こいつをどうやって助けろと……こいつ以外は僕が顔を見ようとしたら首が痛くなっちゃいそうなくらい巨大だけど、こいつは片腕で抱えられそうなくらい小さい。
「……静かに。こっち来て」
技で牢屋に小さな穴を空けると、そいつは素直に出て来た。
「はぁぁぁ、助かったにゃー……」
「……一体何者なの?人の言葉喋れてるし」
「ああ、自己紹介はいるにゃね。にゃーは……猫でもない!魚でもない!さかにゃ!」
「うるさい。まんまじゃないか」
「人の名前に文句つけんにゃ!」
「はいはい。僕はフィラ。後はどうぞお好きに。精々頑張って脱出しなよ」
「おいお〜い、良いのかにゃ〜?さかにゃは有能だから〜、案内出来ちゃうんだにゃ〜」
「本当に?」
「さかにゃに二言はないにゃ!」
「じゃあ」
僕はさかにゃをシャツの襟に仕舞い込む。
「にゃ?にゃにゃにゃ!?」
「どうしたの?」
「……いいにゃらいいけど……」
「はぁ、行くよ」
「どこに?」
「……ここについて知りたい」
「にゃら、最下階まで行ってみればいいにゃ」
「分かった。ちゃんと捕まってて」
「にゃ?」
僕は再び飛び降りる。
「にゃーーー!」
「相変わらずうるさいな、静かにしてよ」
今度は技で綿を出して着地する。
「ほぇ〜、すごいにゃ」
「まぁ、すぐ仕舞うけどね」
それらを妖気に戻して吸収する。勿論全部戻って来る訳じゃないけど、やらないよりはずっと良い。
それにしても、最下階は……
「庭園……か?」




