第三部 再会
「フィラ。もう来たのですか?」
相変わらずなコナの無機質な声も、ここだとちょっと不気味に感じるのは、なんだか皮肉だった。
「うん。テイラーの方に行って良いよ。彼なら大丈夫でしょ」
「分かりました」
隣にいたサリィも、
「じゃね〜、アディオス!死んじゃダメだよ⭐︎」
と言い残して去っていった。
「俺たちだけで、やる事あんのか?」
「僕が帰って来たんだ。何かしらはあるでしょ」
その瞬間、ゆっくりと床に切れ目が入る。というより、元々開く様に設計されていたのかもしれない。
「レオン、飛べる?」
「ああ」
上から見ると、四分割された中央の床が、通路の方に格納されて行く。
現れた空洞は、螺旋階段だった。
「どんだけ凝った作りしてんだよここ……」
「……随分と大仰だね。念の為、二階に行こう」
二階に降り立っても、バロンのお陰か何も出て来なかった。でも、螺旋階段の方から大きく雑多な妖気を感じる。
「……やっぱり、僕が来ると反応するのか。レオン、覚悟は出来た?」
「ああ」
その妖気の持ち主は、つぎはぎの翼でこちらまで飛んで来る。
「あははっ、久しぶりだね〜。本当、暴れてくれちゃってさ〜」
キリュウはこちらを見て、ニタッと笑う。幼児から幾許かは成長して、十歳近くの顔立ちだった。
「父さんからは、捕まえるように言われてるんだよね〜。つまんないの〜。
でも、そっちのドラゴン君は、殺しても良いってさ!どうする?逃げてみる?」
レオンの顔が強張る。ここで挑発に乗っちゃいけない事は分かってるみたいだけど。
「逃げねーよ」
「あっそ。まぁ良いけど」
本当につまらなさそうな顔をする。こいつは本当に純粋らしい。
研究所の外に出て、色々経験した自分の方が汚れている気がするという事実には、なんだか嫌悪感があった。
「フィラ?だっけ?キミみたいなのにもちゃんと名前が付くんだね」
「……そっくりそのままお返しするよ」
「え〜、やだなぁ、キミと一緒にされちゃ困るよ。
キミは“レプリカ”だけど、ボクは“純正品”なんだし。キミは所詮……『あれ』の模造品なんだよ」
僕の知らない単語を楽しそうに並べていく。積み木を並べているようなその様子に、余計に腹が立つ。
「でも、僕は君よりよっぽど有意義な人生を歩んでると思うけど?」
「どうだろうね?結局、ぜーんぶぜーんぶ、作り物なんだよ?」
「どう言う意味?」
「……?なんだっけな……。まぁいいか!つまり、キミはどう足掻いてもキミ以上の物にはなれないんだよ!」
……さっきの間はなんだったんだ?




