第五部 sleep
その後、何を思ったのか……ミサさんは僕を解放して外へ放り出した。
「……これは、助かったん……でしょうか?」
とりあえず、ずいぶん遅れましたがフィラの元へ向かいましょう。
目の前にニアさんが現れた。
「すっげ、無事だったんだ」
「……よく分かりませんが……」
「良い子ちゃんなドラセナは、すぐ食べられちゃうかと思った」
「向こうが何故かお話しして来たので。色々話していたら、解放してくれました。……一瞬本当に駄目かと思いましたが」
「へ〜、ドラセナが踏み込んだ話するイメージないけどな〜」
「そうですか?」
「だって、ドラセナの生い立ちとか全然知らんし。自分の話とかするんや」
「……まぁ、ミサさんにはちょっと親近感があっただけです」
全然違ったけど、と、心の中で付け足す。
「親近感?……ん〜まぁ、あいつも色々抱えてそうだったしね」
「そうですね」
ニアさんが徐に遠くを見やる。
「?……何か、あったのですか?」
「簡単に言っちゃうとね、精霊が大量発生してマジヤバになってる」
「……みなさんでは抑え切れないのですか?」
「着実に倒しては行ってるけど……なんせこの国軍隊ないし。警察は市民の避難に手一杯。こっちの数不足が顕著に現れてる」
「……成程。僕もお手伝いしましょうか?」
「ダメ。まずは拠点に戻ってクオさんに会うの。ちゃんと休んで」
「……分かりました」
クオさんは軽装に着替えた僕を上から下まで何度も何度も見た。
「……えっと」
「すっごいわね。あいつ相手に目立った外傷なしって」
「……そうですね」
「今日はもう休みなさいな。夜は夜の住人に任せるのが一番」
「分かりました。……フィラは?」
「寝なさい」
「……返事が欲しいです」
「……研究所に乗り込んで行ったっきり。でも大丈夫、妖気は感じるでしょ?」
しばらく封じられていたせいか、遠くの妖気が分からない……。
それが顔に出ていたようだ。
「……まぁ、寝て起きたら治るでしょうに。とにかく寝なさい」
「……はい」
僕はソファに寝転がる。
「あっちの寝室で良いのよ?」
「……いえ、ここが良いです」
「なぁに?寂しいの?」
「……そうかもしれませんね」
「……まぁ、ドラセナ君って感じね。毛布、そこにあるわ」
僕は重い体をもう一度起こし、棚の中から毛布を取り出した。ふわりとした手触りに安心する。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
ソファに体を預け、毛布をかけると、クオさんや来た人が絶えず立てる音の中、深い眠りに落ちて行った。




