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フォニックス オワリノハジマリ  作者: ことこん
第七章 innocent devil
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第二部 murderer?

 とりあえず、飯を食わせる事にした。セナちゃんはカルボナーラをフォークで綺麗に食べて行く。

俺が言葉に詰まっていると、セナちゃんは周囲を見回し、

「そう言えば、ここ、地下なんですね」

なんて言ってきた。

こいつにとって、自分が人殺しであるという事を突き付ける会話は、ただの世間話だとでも言うのか。

「……まぁな」

「どうしてですか?」

「……チビの為だ。チビは“吸血鬼”で、日光に弱い。それだけだ」

名前を呼んだからか、チビがこの部屋に入って来る。

「面倒に思わないんですか?」

「は?面倒だったら殺してるだろ」

セナちゃんの目の色が変わった……と思ったら、その手からフォークが消えていた。フォークは、チビがいた壁に刺さっていた。

「……あ、ごめんなさい……」

セナちゃんの口からそんな声が漏れる。

「駄目ですね、癖が一向に治らない……」

「……お前……」

一瞬、その身体を水に沈めてやろうかと思った。こいつ、チビにやった事を反省してるんじゃない、俺の言葉を真に受けた事に反省してる。

でも……ここで殺ったら、俺の中の何かが崩れる気がした。


 セナちゃんの腕を再び縛る。

「なぁ、仲間はお前がやった事、知ってんのか?」

「全く知りません」

即答かよ。まぁ、確かに人を殺した奴の雰囲気じゃないな。

「……セナちゃんは、自分が人殺しだって事どう思ってるの?」

「確かに、やり過ぎましたね……」

まぁ、普通反省するよな。

「これからは、ちゃんと考えてから行動します」

「……セナちゃん、それ本気で言ってる?」

「はい」

「普通、人殺しって駄目な事だろ?」

「あなたがそれを言いますか?」

「……黙れよ」

「……」

何だか落ち着かなくなって、俺は部屋を出た。

どうやらあれは……相当厄介な人種らしい。

普段は攻撃性の欠片も無い顔をしておきながら、そろりと死の影を落としていく、この感じ。

チビが心配そうに俺を見上げで来る。

「チビ、怪我はないか?」

チビは大きく頷く。

「あいつの部屋には、もう入らない方が良い。掃除も出来ないが……それでもだ」

チビは頷く。しかし、すぐに俯く。

「……俺も、あんな奴は初めてだ。でも、あいつを今お前を襲ったって理由で殺せば……俺が自分で言った事と矛盾する……」

チビは拳を強く握りしめる。

「……チビ……」

チビはズカズカとキッチンに引き上げて行った。

俺は馬鹿だ。いや……あいつはそれを見越して俺にああ言わせたのか?

……俺は、チビの為にあいつを殺すべきなのだろうか。

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