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フォニックス オワリノハジマリ  作者: ことこん
第五章 それでも、あなたは
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第二部 who

 「じゃあ、俺のことミサって呼べよ。これで平等だろ?」

向こうは無理矢理肩を組んでくる。

「本名ですか?」

「んー、一応。セナちゃんは?」

「これはリーダーに付けてもらった名前です」

「へぇ、本名は?」

ミサは顔を近づける。

「さぁ?小さかったので、忘れてしまいました」

「え〜、本当のこと教えないと、普通に食うぞ?」

「人を普通に食う人間はいません」

「そりゃーごもっとも。俺は普通じゃないんでな」

「仕方ないですね。

僕の本名は、セリーチェです」

ミサは少し右上を見た後、

「もしかして、あの?」

「知ってましたか?」

ミサはケラケラ笑い出す。

「知ってるも何も、超有名な事件じゃん」

『セの一族』。

セの一族は元々、王族に次ぐ程の貴族であった。

王族と同じようにセの字を名に冠し、側近含め世界中の国の中核を担うことで有名で。

それ故に、権利争いの熾烈さは時に王族よりも酷かった。親兄弟で血を流す……いわゆる血を血で洗う状況だった。

それ自体は特に珍しい事ではなかったものの、彼らは少しばかり、やりすぎた。

結論から言うと、後継ぎどころか一族の人間が減りすぎて、結局五人程度しか残らなかった。

どうしてそんなになるまで戦い続けたかなんて、知る由もないけれど。

「セナちゃんはそん時生きてたんだっけか」

「子供でしたけどね」

「へぇ……よく生き残れたなぁ。しかも男だろ?普通潰し合いに巻き込まれそうだけどな」

「子供だったので、知恵を働かせばいくらでも方法はありますよ」

「例えば?」

「それくらい、自分で考えてみたらどうですか?」

「え〜、俺、考えるの嫌いなんだけど」

「そんなあからさまな嘘、ついても意味ありませんよ?」

ミサは口を尖らせ、

「セナちゃんの意地悪ー」

なんてふざけているけど。

「単純な話ですし、僕が考えついた訳でもありません。

幼児の性別なんて、どうとでも誤魔化せると思いません?」

「じゃあ、マジでセナちゃんだった時期があるってか」

「……まぁ、そうなりますね」

「でも、セナちゃんがそんだけの奴とは思えないんだよなー」

「どうしてですか?」

「だってさ、その理屈で行くと男以外殺される意味が分かんねーし」

「色々あったんでしょうね」

「セナちゃんは覚えてないんだ?」

「勿論。いくつだったと思ってるんですか」

「へぇ……おかしいなぁ、じゃあ、家にいた中で生き残ったのがセナちゃん一人なのも偶然?」

「ええ」

「ふぅん……」

ミサはじっと見つめて来る。

わざわざ聞いて来るのは建前で、本当は分かっているのかもしれない。

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