プロローグ star(e)
僕、ドラセナは破壊神の家らしき場所。
起きてすぐに首元に痛みを感じた。手刀で気絶させられたのだろうか。
というより、手は後ろで、足は揃えて縛られていて、技は使えなさそう……随分と警戒されている。
僕がどうしようとそこまで困りそうにないのに。
あの人ではない誰かが近付いて来る。
身長はフィラより一回り小さいくらい。日に当たっていないのか不気味な程に白い肌。
向こうは無言だったけれど、深い皿に入った湿ったフライ?とスプーンを置いて出て行った。
とりあえずは僕を生かしておくらしい。
あいにく自決剤なんて仕込んでいなかったが、どうするべきか悩んでいると、あの人が入って来た。
僕をベッドに座らせると、
「おっはよう♪
気分は……流石に最悪か」
「僕を生かす意味なんてあったんですか?」
その人は歯を出して、ニカッと口角を上げた。
「俺がそうしたかったから。他に何かあるか?」
「それは失礼」
その人は先ほどのよく分からない料理を僕の前に持って来る。
「食いたい?」
「……それ、一体全体なんなんですか?」
「知らねーの?カツ丼だよカツ丼!
取り調べの定番だろ?」
「知りませんよ」
その人は技で僕の腕を解放すると、
「とりあえず、それ食え。
セナちゃんのお口には合わないかもしんねーけど」
……何故か名前を知っていた。
その人は僕をずっと見て来る。初めての食べ物に戸惑う様子が見たいのか。
スプーンで何かのフライを剥がすと、汁でひたひたのライスが現れる。
得体の知れないものが食べなれないものの上に乗り、よく分からない調理がなされている……。
「……いただきます」
全く抵抗がないと言えば嘘になるが、話が進まないので口に入れてみる。
……食べれなくはない。
「どーだい?チビのカツ丼」
先程の人はどうやらチビと呼ばれているらしい。もっとマシな名前はいくらでもあったろうに。
ひとまず食べ終える。
「……ご馳走様でした」
その声を聞いてか、チビさん?が片付けに来た。
「さーてと、楽しいお話しタイム〜」
その人は僕の手を再び縛ると、ベッドの上に座った。
真横に生の気配を感じるが、温かさなんてない。
「セーナちゃん♪」
「なんで名前知ってるんですか」
「知りたい?」
「まぁ、はい」
「だってさ、この前首斬りが行ったろ?
そん時に聞いたんだとよ」
「……なるほど」
「ツレねーなー。セナちゃんは帰りたくないの?」
「ちゃん付け、やめてもらって良いですか?」
「なんで俺がセナちゃんの言うこと聞くんだよ?」
それは、緩やかな下り坂の始まりだった。




