第三部 爆速大剣
一日目:AM八時
コナです。
突然、バロンさんの妖気が消え……テイラーさんが降りて来ました。
『バロンは大丈夫そう?』
「んー、僕からしてみりゃパネェ奴だけど、リーダーならマジティーっしょ」
『つまり大丈夫って事で良い?』
「イエス」
フィラが少々怒り気味のようですが、大丈夫でしょう。もう子供じゃありませんし。
『二人は……そこで見張りで』
「はいはーい」
テイラーさんはそう答えると壁に寄りかかってスマホを触り始めた。
こんなにも堂々と私たちがいるのに被験体が攻めてこないなんて、奇妙ですね。
腕時計を確認したり、ステンドグラスを見つめたり。
やれることは限られていた。
と思っていたら、死体置き場から人が出て来た。
一斉に銃を構えて来る。
流石に避けれませんが、弾き返すのは簡単ですね。
恐らく研究者らしい人はそんなに強くないが、死体や瓦礫を盾に近づいてくる。
テイラーさんも気づいたようですが、何かする様子もない。
研究者がテイラーさんの間近に迫った時、
「僕の為に働きなよ。
可愛いワンコちゃん♪」
とよく分からない事を口ずさむ。
と思うと、死体置き場にあった死体が一人でに動き出す。
研究員にしがみつき、どこまでも追いかけていく。
その時、置き場から誰かが出て来た。
「危ないな〜
ボクまで操らないでよ?」
サリィさんでした。
サリィさんはテイラーさんにそれ以上文句は言わず、そしてテイラーさんの言い訳も聞かず、研究者に向き直った。
「ひゅ〜どろどろ〜⭐︎
ゾンビパニック!」
死体たちの動きがより活発になり、普通の戦士程度の身体能力を持つようになった。
彼らの攻撃が当たり、研究者のカードホルダーの紐が切れる。その瞬間、死体がバラバラになる。
「やめてヨ!
みんながかわいそうでショ?」
少々発音が独特だが、妖気は本物。
猫……いや、チーターだろうか。
先程のスピードに似合わない大剣を持ち、研究者の前に立ちはだかる。
瞬きの間に、私に近付き大剣を振りかぶる。
私がそれを避けると、相手は目を丸くした。
「しーたんよりもはやいこがいるのネ!
こんなのはじめてヨ!いっしょにあそボ!」
多分被験体だ。先ほどよりもスピードが増している。
これでこの大剣を捨てたら、果たして見切れる速さで留まるだろうか。
「そいつ、任せたよ」
二人は別の相手が来たようだ。
「よそみしないでヨ!」
不意に肋を蹴られる。
ズキズキと痛むけれど、血が迫り上がって来ることはない。折れてはいなさそうだ。
まだ、戦える。




