プロローグ 愉快な二人組
一日目:AM七時半
私、スインはバロンさんと合流した。
バロンさんは襲って来たらしいアンドロイドたちを既に軒並み破壊しており、なんなら水分補給までしていた。
「……」
何も喋らないバロンさんだったが、
「やぁやぁリーダー。聞いてよー、めっちゃパネェんだけど、ここ」
と、テイラーさんが肩を組んで話しかけている。
どうやら、気難しい人な訳ではなさそうだ。
「リーダー喋んねーけど、気にしなくていーよ。
知らない人、ひいては女子なんかいたら、緊張しちゃうだけだからw」
「笑うなっ、『w』で笑うな!」
そこかいな。
……じゃなくて、
「はよ行きましょに……」
『ちょっと待ってね、三人』
とクオさんの声が聞こえる。
『三人』って呼ぶんかいな。
『スインちゃんは、こっちに戻って来てだって。二人はそのまま直行よろー』
なんとも、ゆるゆるな感じやな……そんだけ余裕があるんやろうか。
バロンや。
テイラーとやったらまぁ、ええか。
と思いつつ、中に入る。
上下左右無機質な壁に囲まれているせいか、足跡が大きく聞こえる。
「それにしても、リーダー、テンパリすぎだって。
そんなんだったら、この先キャパかねぇでっせ」
テイラーの言うとること分からんねん。
「苦しい共通語リーダーマジで草生える」
「何を言っとんの?」
「リーダーも学びなさいな、若者言葉と僕語をね!」
「無茶苦茶や」
と言い合いながら歩いて行くと、なんやったか、兎の方の人がなんかへんちくりんな動物と戦っていた。
「……ええ?倒して」
その人は目も合わせずに無言で頷く。
……ええんやな?
じゃあ、やるしかないな。
右脚一本前に出して、左腕引いて、深呼吸して……
「一」
今日の初撃。
拳に当たった空気が動物を吹き飛ばして行く。
「……当たって……ないよな?」
と辺りを見回すと、その人が飛び降りて来た。
「ありがとうございます」
なんか無表情なんやけど。
テイラーに目線を送るも、逸らされる。
『コナちゃんはここで待機しててー!
二人は二階に!』
ある意味助かった。
コナ……覚えておかんとな。
階段が分からなかったので、吹き抜けを跳び上がって侵入した。
すぐ近くにあるカラフルなステンドグラスがどうにも不似合いで、不気味だった。
この角度から見ると、半円なのがよく分かる。
二階の部屋はそれぞれがより封鎖的で、より重々しい妖気を感じた。
「こりゃー、骨が折れるなー」
とテイラーが言う程ハッキングも難しいらしい。
「ハッキングせんでもええんちゃうん?」




