表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フォニックス オワリノハジマリ  作者: ことこん
第三章 別働隊(第一段階)
15/44

第五部 exorcism

 痛む耳をミネーシャに治して貰いながらも、俺はムルルを見つめる。

「ごめんね、ライトさん。

でもね、僕だって生きたいんだよ」

その一言の重みは、計り知れない。その一言も言えずに消えていった命も。

俺は覚悟していたつもりだった。

でも、いざこうやって目の前に立ちはだかると……どうも、割り切れなくなってしまう。

そして、何よりも……。

「ムルル……ごめんな、俺とお前は、もう敵同士みたいだな」

「……別に、僕から仕掛けたんだから謝らないでよ。

これは、僕の為の戦いなんだ。

遠慮なんて、しないでくれるかな」

ムルルがやったことは消えないが、俺が今からやる事も消えないんだ、一生。

「みんな、先、行っててくれ。

……ちゃんと、ムルルと向き合いたいんだ」

みんなが行ったかどうかは分からないが、俺はムルルと見つめ合う。

「俺は、お前のこと助けたいって思ってた」

「……知ってるよ」

「でも、どうすれば良いのかすら、分からなかった」

「知ってるよ」

「っていう言い訳をつけて、俺らは楽しく過ごした。お前が苦しんでる間も」

「知ってるよ」

「俺は弱かった。キリュウを前に、何も出来ない。誰かに助けて貰ってばかり。

そんな俺が、本気でリウェを倒して、全部戻させられる自信が無かった」

「知ってるよ」

「俺は内心、迷ってたんだ。イネイを撃ったのは事実だけど、それはムルルの意思じゃないだろうし……」

「知ってるよ」

「でも、これが、ムルルの本心になったんだとしたら、俺はムルルを庇えないなって」

「……」

「なぁ、ムルル。

俺は、お前を止めるべきなのか?」

ムルルは少しの間俯き、口を開いた。

「変わらないね、どんなに強くなっても……周りがどれだけ危険な存在になっても。

それは君の弱さだ。でも、ある意味では強さだよ。

君はそうやって、自分に刃を向けながら生きていくんだろうね。

……僕とは真逆だ」

ムルルは刀を出す。

俺は、もうムルルに何を言おうとか、何をしようとかは無かった。

……親父も、こんな感じだったんだろうか。

俺は、親父がどんな立場で、何をしていたのか、詳しくは知らない。

でも、もし今の俺とそっくりな状況に置かれていたんだとしたら……。

ムルルは刀を片手に斬りかかって来る。

余裕で避けれる。

避けてる……けどさ。

いつまでも、仲間と思ってちゃ、いけないんだよな。

俺はムルルの顔を掴む。

後頭部に持ち変える。

そして、そのまま、電流を流す。

知ってた。知ってたんだ。

いつかは、この二択が迫られるってことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ