プロローグ eat
一日目:AM七時
ライトだ。
俺たちは待機中だったが、ベリーマリーのマシンガントークでほとんどの時間を潰していた。
丁度銃口がセイに向かった所だったので、ミネーシャの様子を伺う。
ペストマスクに黒手袋、黒い外套に黒ズボン。全身真っ黒だ。おまけに靴も黒い尖った革靴で、街中を歩いていたら職質まっしぐらの見た目でしかなかった。
「えーっとだな……それ、動き辛くないのか?」
「甘いな。
今回の相手は人間だ。ならば仕込みはしすぎるくらいが丁度良いのだよ!
それに、試したいものが多々あってだな……」
とペストマスクの下から語り出した。
どうやら化学の話をしているようだが、何が何やら全くわからない。
とりあえず頷いておいた。
しかし、全く終わらないな、これ。
オカルト好きそうなのに、意外にも化学者なんだな。
その十分後、俺たちはフィラの指示通りに港へ向かった。
『どうやら、ここから打ち上げられるゴミに怪しいものが混じってるらしくて。
話、聞いて来て欲しいんだ
あと、魂を喰らうものが近い。
気をつけて』
とのこと。
別に、普通に処分して終わりなんじゃなかろうか。そんなにやばいものなのか?
とにかく着いたが、ミネーシャが先頭だったせいで疑われかけたり、ベリーマリーが海の近くを通るのを拒否したりと、色々大変だった。
「なんか、よく分からないんですが……。
ああ、あれですあれです」
と、案内人が指差す先にあったのは、砂地に不自然にへばりつく明るい黄緑色の球体。男一人が寝転べそうな大きさだ。
これだけだと生物っぽいが、一定間隔で並んでいて、その規則性が不気味だった。
「昨日よりも増えてます……」
どうやら昨日初めて発見したらしく。
警戒している俺たちをよそに、ミネーシャはそれに近づく。
俺は止めようとするが、ベリーマリーに止められる。
「大丈夫。
あの子には今、ツキが回ってるから♪」
ミネーシャが手のひらの上で突くと、プルプル震える。震えが大きくなっていく。ミネーシャはそれに気づいて投げる。
震えが止まったかと思うと、それの表面の皮が千切れ、中の黄緑色の液体が流れ出す。
丁度近くにいたカニを飲み込むと、それは急速に集まっていき、人の形を形成する。
すぐに、それは人となった。しかし、自我などは無く、プログラムされたような動きで攻撃して来た。
手がカニのハサミになり、ミネーシャを襲うが、それは空を切るだけ。
「これ、強い奴が取り込まれたら困るな」
というセイの呟きが、今後を不穏にさせた。




