page.18 この男、聖者にあらず
キキ国の屋台が立ち並ぶ場所。そこには無数の屋台と人だかりと鼻腔をくすぐる匂いが混在していた。そこにセレーナとラーボとティターニアが目を泳がせながら回っていた。大きな道を挟んで立ち並んでいる店をキョロキョロ見回していた。
ティターニア「こ、これが屋台というものですか…何というか圧巻されますね…」
ティターニアのいる魔族にはこういうものはないそうだ。だが、セレーナやラーボも知ってはいるがこれほどまでの活気のある場所は初めてである。
セレーナ「ん~いい匂いっ!お腹がさっきからグーグー鳴っちゃうわっ!ブレイブとあの野郎には内緒よ!」
ラーボ「全部のお店回って食べ比べしたいです~」
ティターニア「あそこの焼いた魚食べてみませんか?」
ティターニアが指差した屋台で焼き魚を3本購入した。
目の前で串に刺して塩をふり、備長炭によりじっくり焼くところを間近で魅せるスタイルについヨダレがでてしまいそうだ。
手渡せれた焼き魚は、完璧な焼き加減で煌めいているかのように錯覚した。3人はワクワクさせながら口に運んだ。焼かれた皮はパリパリ、それを通過した歯には柔らかい身が当たった。
見た目と匂いと食感を全て余すことなく刺激された3人はまるでほっぺが落ちるかのように悶絶した。
ティターニア「お、美味しい…初めて味わう味ですわ…!」
セレーナ「ハンっパない!骨も全部食べれちゃうわ!!」
ラーボ「な、なんか涙が…」
同時刻、ブレイブ達は物資が安い市場を遊に教えてもらい、一緒に歩いていた。ライアは弾から少し距離を置きたかったのか、少し寄り道をすると言って一旦離れていった。
そこもセレーナ達と同様、人だかりがありブレイブは少し気分が悪そうであった。
遊「あと少しだ。あと角を2回曲がれば」
ブレイブ達が人だかりの流れに沿いながら歩き通りすぎた道の隅にフード付きマントを被った怪しげな人物がブレイブ達を見ていた。
???「目標を目視した。接触する」
耳に手を当てて誰かと通信しているようであった。
人混み紛れながらゆっくり歩を進めていた。
ブレイブはその存在に遅れて気づいた。自分達を舐め回すような視線と感情、人がたくさんいることと本調子ではないことが災いした。
ブレイブ「っ!何かいるぞ」
弾「なにっ!魔族かっ!?」
ブレイブ「分からない…だがこちらを狙っているような気配を感じる…」
ブレイブは頭を押さえながら話していた。雨の日の偏頭痛のように鋭い痛みをブレイブの頭を襲う。
遊「大丈夫か?」
ブレイブ「あ、あぁ…それよりもずいぶん堂々と現れたな」
苦しむブレイブの視線の先にはフードを被った人物が立っていた。人の流れを遮るように立っている人物に通る人達は迷惑そうな顔をしていた。そこに肩を掴み、文句を言う通行人Aがいた。
通行人A「おい!お前、店に用がないならこんなところで立ち止まるんじゃあねぇ!前が進まねぇだろ!?」
少々、喧嘩口調なところがあるが言っていることは正しく、誰も文句を言う通行人を制止するものはいなかった。ただ1人を除いて。
ブレイブ「やめろっ!そいつに関わるな!」
通行人A「はぁ!?」
ブレイブにも噛みつきそうな態度の通行人Aがブレイブ達を見た後、次に見た光景は空であった。ブレイブに制止された瞬間、フードを被った人物に顔面への裏拳をくらい宙に舞い上がったのだ。
通行人A「ぐえぇ~!!いてぇ!いてぇ!」
裏拳をくらった通行人Aは、地面に打ち付けられ顔を押さえて地面で地団駄を踏むように悶えていた。それを見た近くにいた他の通行人達は、悲鳴を上げてその場が混乱の渦に飲み込まれた。フードを被った人物は口元に笑みを浮かべながらフードを取った。
ソトー「ふっふっふっ、たまんないねぇ」
フードを被っていた人物はソトーと言う魔族の1人であった。額に2本の角が伸びていた。ソトーは手の甲についた血を舐めた。
弾「んだぁ?その角…てめぇ魔族だな?」
ソトー「そう、俺の名前はソトー。下等な人間族を飼い慣らす誇りある魔族の1人よっ!」
高らかな声で両手を上げた。自身を誇示するかのようであった。
遊「…その魔族が下等な人間の住む地で何のようだ」
遊はソトーのペースに乗らず冷静に問う。ソトーは少し不機嫌になり質問に答えた。
ソトー「ちっ、俺は魔王様から使命を受けてこの薄汚れた土地に来た。ここまで言えばどんな用事かはわかるよなぁ?」
弾「またかよ…」
ソトー「貴様ら魔王討伐パーティとやらの抹殺よ!」
弾「ったく、てめぇなんて何てことはねえよ。さっさとボコるぞ」
弾は、ソトーの話をちゃんと聞かずに指の骨を鳴らしながらソトーに近づいていく。
ソトー「いいや、お前達は俺には手が出せねぇよ。なぜなら…ぐぇっ!!」
ソトーが話している途中、いつの間にか間合いに入っていた弾の右ストレートがソトーのみぞおちに入った。弾はこれで勝ったと確信した。しかし、ほぼ同時に近くにいた通行人Bが同様の叫び声を上げて腹を抱え地面へ倒れこんだ。
ソトー「てめぇ、最後…まで話を聞くもんだぜぇ?」
脂汗をかいたソトーだが、不気味な笑みを浮かべ起き上がった。この不可解な状況をすぐに理解できたブレイブと遊と弾。
弾「まさかお前っ…!」
ソトー「そうだ…俺がくらう攻撃は他の奴に肩代わりさせるんだ…!」
ネムレリア・ティアドロップ(17)
ジゴホウ国王女
幼きブレイブの目の前で、魔王に拐われ魔王城に囚われているとされている。
拐われる瞬間、ブレイブに何かを授けたと思われる。何やら不思議な力を潜在的に保有しているようだ。




