表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最強の元一般人――異世界ラノベの主人公に憧れた俺、最強でも現実は甘くなかった  作者: ITIRiN
第7章:王の顔、そして一人の男

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/146

第84話:孤児院を叩く者へ

宣言通り昼過ぎに起きようと思ったのだが、残念ながら11時過ぎに目が覚めてしまった俺は、そのまま遅めの朝ご飯を食べた。

リアに入れてもらった紅茶を飲んでいると、ちょうどマイカ達――孤児院組がちらし寿司を届けに行くと言うので、俺もついて行くことにした。


とはいっても、俺以外の五人は孤児院の子達と一緒に昼を食べるらしい。

さっき朝ご飯を食べたばかりの俺は、院長さんと話をすることにした。


「別に院長さんも一緒にお昼を食べてきてもいいんですよ。マイカ達を迎えに来るついでに、また来ますし」


「実はまだお昼ご飯の準備中でして。今はソウジ様が持ってきてくださったちらし寿司を、先にみんなで食べてる感じですので大丈夫ですよ。

いつもはちゃんとご飯が揃うまで待てるのですが、どうも今日は我慢できなかったみたいで」


元々ちらし寿司っていうのは、見た目が綺麗な料理だ。

それに今回はリアとエメさんが作ったのを参考に、俺が魔法で量産しまくっただけあって中々の出来だった。初めて見る料理って点も含めれば、我慢できないのも仕方ない。


ちなみにどうやって魔法でちらし寿司を量産したかというと、必要な量の材料をテーブルの上に置いて、あとは手本をイメージしながら頭の中で念じたら勝手に完成していた。

なのでこの魔法を使えば「何でも材料さえあれば簡単に作れるんじゃね?」と思ったのだが、どうやらこの魔法は“作り方が分からないと使えない”らしく、適当に異世界の料理を作ろうとして失敗した。


「今回は国民全員分を用意しなければいけなかったので、一人ずつの量が少なくなってしまって申し訳ないですが……気に入ってくれてるようなら良かったです」


「いえいえ。陛下がこの国に来てくださってからは孤児院の運営もかなり楽になりましたし、何より毎日子供達にお腹一杯になるまでご飯を食べさせてあげられるようになったことが、本当に嬉しくて……ソウジ様には感謝してもしきれません」


そんな泣かなくても……と言いたいところだが、俺が初めてここに来た時は想像以上に酷かったからな。

よくこんな状況でも孤児を見つけてはここに連れてきて、責任持って世話をしていたものだと感心したほどだ。


「感謝という点ではこちらも同じですよ。

マイカにはこの国の宰相と並行して、俺の秘書として仕事をしてもらっていますし、アリス・サラ・エレナ・リーザの四人はまだ子供なのに、うちのメイドとして家事を全てやってもらってるんですが――メイド長やメイド教育係の者が凄く褒めていましたよ。

『あの子達を育ててくださった方の教育のお陰か、みんな良い子で助かってる』って」


「そんな、とんでもない。仕方なかったとはいえ、どうしても職員の人数が足りなかったせいで、あまり面倒を見てあげられませんでしたから……元からあの子達が良い子だっただけですよ」


「職員の件ですが、一応こちらで何人か紹介することも出来ますが、どうします?」


まあこれに関しては誰でもいいわけじゃないので、完全にマリノ王国経由での紹介になるんだけど。

そこら辺は婚約のこととかで言えないので、決して自分の株を上げようとかではない。……ホントだよ。


「それに関してなのですが、実は少し前にミナ様からもお話をいただいておりまして……その」


「紹介するのは全員、信頼出来る人物であることは私達が保証いたしますよ。こちら側としても国内に変な虫が入り込まれるのは嫌ですし、何よりここは私の物ですから……というと言い方が悪いですが、安心は出来ますでしょ?」


「いえ、ここが国の物でなくソウジ様の私物になったお陰で、私達は凄く助かっていますので……言い方が悪いなんて言わないでください。

……失礼を承知でお聞きしますが、紹介してくださった方々にここで働いてもらうかどうかを、私達が決めてもよろしいでしょうか?」


う~ん、まあこの仕事は他の仕事と違って子供達をちゃんと育てなきゃいけない責任がある。

何より子供達との相性も重要になってくるだろうし、院長さんの気持ちは分かる。

……まっ、もし不採用の人がいたとしても断るのは俺じゃなくてブノワの親父とかだろうし、そこら辺は上手くやってもらおう。


「いいですよ。将来この国を担う子供達を育てるのも、私達の仕事ですから。

ついでですし、他に何か困ってることがあるようでしたら聞きますよ。すぐに解決できるなら、今やっちゃいますし」


そう言うと院長さんは言うかどうか悩んでいるような素振りを見せた後、近くにある本棚から一冊の大学ノートを出してきて言った。


「これは少し前……アベルさんが初めてうちに来た時に、『何か問題があった際は全てこのノートにメモっておけば、後でソウジ様がなんとかしてくれる』と言われまして……」


また勝手なことを。

しかも初めてアベルがここに来た時ってことは、まだ通販を使えなかったはずだから――仕事部屋に置いといた大学ノートをパクりやがったな。

別に三年の時に授業用に買ったけど使わないで余ったやつだからいいんだけど。


「中を見ても?」


「はい……」


やはり院長さん的には気が進まないようで、どこか申し訳なさそうな顔をしながら返事をしてきた。


さてさて、何が書いてあるんですかね~。


* * *


ノートの中身を全て確認した俺は、今からとあることをするために一人、孤児院の屋上へと来ていた。


「久々にみんなでご飯を食べてるであろうマイカ達の邪魔をしないよう、孤児院にだけ防音魔法をかけてと……。

スクリーンの場所は面倒だから、この国を乗っ取る時に出した場所と同じでいいか。あの時と違って今日は一人だからカメラマンがいないけど」


独り言を呟きながら準備を進め、全部揃ったのを確認した俺は、最後に撮影魔法を発動させた。


「あーあ、え~。私の国では三月三日というのは女の子の健やかな成長を祈る日ということで……

(やっぱ説明するの面倒くせえな)

まあ簡単に言うと女の子の為のお祭りの日なので、今日はひな祭りの際に振る舞われるちらし寿司を皆様にも食べていただこうかと――」


一度息を吸う。


「――で、ちょっとしたお祭り気分のところ大変申し訳ないのですが。どうやら一部の国民の方々から、孤児院に対するご不満があるようでしたので。

それらについて国王(仮)である私が、今から答えさせていただこうかと思います」


ひな祭りの説明がちょっと雑だったけど、まあいいでしょう。

……今度、日本の主な行事集とかいう本でも出そうかな。少なくともそれを最大限に活かしたいであろう商業関係者には売れそうだし。


「ということで早速一つ目のご不満から。

え~、『孤児院のくせして建物が立派すぎる。というか明らかに家より広いのがムカつく』。

まあこの孤児院は私が四階建て+屋上に作り直しましたからね。そりゃ~広くもなりますよ。

ということでムカつくのでしたら、ご自分のお金でどうにかしてください」


「はい、では次のご不満にいかせていただきます……。

『孤児院で暮らしてる子達が毎日新しい服を着ているのが気に食わない。私はいくらママに頼んでも買ってもらえないのに』。

服に関しては取り敢えず今の季節に合う物を、人数分×三着ずつ私が買いました。

孤児院の子達だから気に食わないとのことでしたら――貴方はクズです。ゴミです。人間失格です。以上」


「次のご不満。『孤児院には洗濯を楽に行える魔法の箱をソウジ様から頂いたようだが、それはズルいと思う』。

言い忘れておりましたが、この孤児院は私がここに来た時から私の私物にしました。つまり皆様の税金は一切使われておりません。

なので洗濯機が欲しいのであれば、一台一億円でお売りいたします。欲しい方は宮殿までお越しください。

あっ、洗濯機に関しましては全て異世界の技術が使われていますので、解析されないよう厳重に結界を張らせていただきますがご了承ください。」


「はい次のご不満。『孤児院には掃除を楽に行える変わった形の棒をソウジ様から頂いたようだがズルい』。

これはさっきの説明と同じですね。ということで値段は一台五千万円でいいですよ。

まあそんな異世界の技術を一般家庭に持ち込もうものなら、命を狙われる可能性が格段に上がりそうですが――全て自己責任でお願いします。

また転売が行われた場合は自動的にこの世界から消えますので、ご注意を」


じゃあ孤児院も危ないじゃんと思われそうだが、建物自体に結界を張っているのは勿論のこと、ここの住民に対して何か悪さをしようとしている相手には一切認識されない――認識阻害魔法を全員にかけているので安心である。


* * *


それからもいくつか孤児院への不満に対して答えていき、ようやく最後のものになった。


「『元孤児院の奴らがただただ運が良かっただけなのに王宮で雇ってもらえて、しかも快適な暮らしをしているのがムカつく。底辺は底辺に相応しい生活をしていればいいのに』。

………おい。お前の居場所は既に特定したから、大人しくそこにいろよ。俺の気が済むまで殴った後にこの国から永久追放してや――痛っ⁉」


喋っている途中で後ろから思いっきり頭を叩かれた。

誰だよ、と思いながら振り返ってみると――


「私達のことで怒ってくれるのは嬉しいけど、これから王様になろうとしてる人がそんなこと言っちゃダメでしょ‼」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ