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世界最強の元一般人――異世界ラノベの主人公に憧れた俺、最強でも現実は甘くなかった  作者: ITIRiN
第6章:王の顔と、隠しきれない素顔

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第69話:線引き

「どうやら会議前に、この人がソウジに激励を送った意味をまだちゃんと理解してないみたいだから教えてあげるけどねえ。あれは――“今後間違いなく、貴方の力や権力を求めて結婚を申し込んでくる王族貴族の娘が大勢出てくるだろうから、頑張りなさい”って意味なのよ」


チッ。

だからあの時ティアが、やたら早く会議を始めろって急かしてきたのか。


……あいつ、実はこの世界の人間の中で一番俺のこと理解してるんじゃないか?


「絶対に嫌だね‼ 言っておくが政略結婚はもちろん、俺が好きになった子以外とはぜ~~っ対に結婚なんてしないぞ!」


「そうは言っても、既にうちの国での貴方への認識は――

“下手をすれば一人で一国を余裕で相手にできるほどの要注意人物”

“味方に付けておいて絶対に損はない”

“日本人ということは、新しい技術を提供してもらえる可能性が大いにある”

などなど。上げればキリがないほどの人気ぶりよ。

そして今後、ソウジの存在が広まれば広まるほど、そういう考えの人達は増えてくる。マリノ王国の王女が貴方の所に嫁ぎに行った=“何か優遇されているのではないか”と勘繰る人達が出てくるのも必然」


つまり――うちの王族貴族の娘も嫁がせるから、マリノと同じくらいの待遇よろしく、ってか?


「ざっけんな! 俺は勇者でもなければ便利な猫型ロボットでもないなんだから、そんなホイホイ他国様に技術提供するわけねえし、無条件に手を貸すわけもねえだろ。お前らちょっと日本人を舐めてないか?」


「舐めてるというより、今まで勇者召喚された日本人がみんなお人よし過ぎたのよ」


「……お母様が言った理由の他に、勇者様という立場のせいで無意識に“人助けをしなければ”と思わされていた可能性も考えられますね」


なるほど。

この世界より自分達が住んでいた世界の方が圧倒的に技術が進んでいた――ってこともあって、尚更“人助け”に拍車が掛かったってか。とんだカモだな。


「まあ、お前は初めから一国の王という立場だが、勇者様はかなりいい立場を与えられこそすれど、国王になるなんてことは今のところ一度もないからな。そのお陰で、ある程度自由が利く冒険者として色んな国へも行ける。そこで自分の持っている知識を、好きに広めたりしたことも影響しているのだろう」


「いいか‼ 俺は戦争してでも政略結婚なんてする気はないし、今までのクソ勇者みたいにお人よしでもなければ甘くもない。そこのところ気を付けろって、自分の国と全友好国の王族貴族共に伝えておけ! 分かったか‼」


自分が便利な道具みたいに言われたのが気に食わず、つい大声が出た。

すると膝の上のロリミナが体を捻り、子供っぽい上目遣いで言う。


「ソウジ様の気持ちはよく分かりますが、他人にここまで怒りをぶつけるなんて珍しいですね。……というか、実の娘である私ですら、この二人にここまで怒鳴ったことはないのですが」


「お行儀よく育てられたお姫様と、一般家庭で育ったこやつとでは、親との喧嘩の仕方が違うのは当たり前のことじゃろうて。まあ今回は喧嘩というより、少し頭のいい子供が駄々をこねておるだけじゃったがの」


今まで黙って俺達の様子を見ていたティアが割り込んできたおかげで、俺の頭も少し冷えた。

ミナを抱え直し、ため息混じりに言う。


「はぁ……。今のは確かにリアル王族に対しての口の利き方じゃなかった。だが、さっき言ったことは全部本心だから絶対に譲らないぞ。……でも、口の利き方に関しては今後気を付けます」


「え~、折角だし、私的にはそのままでいてほしいんだけど……レミアちゃんはどう考えてるの?」


そう言ってきたのは、キッチンで作業中の母さんだ。

うちのキッチンはオープンキッチンなので、そこで作業していようが居間の会話も様子も全部丸見えである。


「それだと貴方の夫、レオンの仕事が少しの間だけとはいえ一気に増えるわよ。まあ、それはうちの夫も一緒だけど」


「親は子供を守るものなんだし、これもある意味仕事でしょ。陛下がその分お給料を上げてくれるかは知らないけど」


……全く意味が分からん。

ミナも分かってないっぽいし、ここは黙って――


「なんで私が陛下達と一緒にいながら、ずっと黙ってたか分かってますよね? アンヌさんも知っての通り、既にうちの国だけでも十人は“うちの娘を”と仰っている貴族がいらっしゃるのですよ。それを私達で全部ブロックしろって、貴方は鬼畜ですか?」


レオンの親父、母さんのこと“アンヌさん”って呼んだ……。

仲、いいんだな。


「それに両家から自分の娘を嫁がせているとなると、その貴族達を納得させるのはかなり大変なんだが……」


「アンヌも言っていたけれど、親っていうのは子供を守るもの。どんな状況でも味方でいてあげるものなのだから、少しくらい頑張りなさいよ」


四人が話し合いを始めてしまい、完全に俺は暇になった。

なので、リビングのテーブルで会議内容を纏めているらしいマイカ以外の四人に念話を繋げる。


(誰か、解説プリーズ)


(どうやら既にソウジ様目当ての方達がうちの国から出てきているようで、それをお父様とレオンで何とかするように、お母様達が言っているようですが……別にここが知りたいわけではないんですよね?)


(ああ。俺が知りたいのは、一番最初に母さんが言った言葉の意味だ。リア、なんか分かんねえか?)


(私もそれが気になって、ずっと考えていたのですが……どうもしっくりこないんですよねぇ)


リアでも分かんないなら、子供のセリアに答えを求めるだけ無駄――じゃなくて、仕事の邪魔したら悪いし聞かないでお――


(ちょっとソウジ、今失礼なこと考えなかった?)


(いやっ、全然)


(私が色んな意味で子供じゃないってこと、今夜“貴方の体”に教え込んであげるから覚悟しなさい)


なんで俺の考えがセリアにバレてんだよ。

実はエスパーか何かか?


(お主は本当に隠し事をしたい時以外は分かりやすいからのう。その証拠に、先ほどのクロエ相手の時は魔法を使わず素で演じていたようじゃしの)


うちにエスパー多くありませんか? 既に二人もいるんですけど。


(おい、お前なら絶対答え知ってるだろ。早く教えろ)


(んぅ? まあ知っておるというか、大方わらわの考えが当たっておるとは思うが……自分で聞いた方がよいのではないかのう)


本人に聞けって言われても、まだ話の途中――……っと。

ちょうど終わったっぽいな。どういう結論に至ったかは知らないけど。


……とか思っていると、いきなり母さんが言った。


「ということで、今日から家で一緒に暮らさない?」


「言ってる意味が全く分からないんだが。何が“ということで”だよ」


「え~、折角私達がソウちゃんのお母さんとして色々話し合いをしていたのに、聞いてなかったの?」


さっきのは夫婦喧嘩とは言わないレベルだろうけど、あんまりそういうのは好きじゃない。

だから実は、意図的に聞き流していたりする。


……と考えつつ、一度だけ頷く。


すると今度は母さんが言った。


「これでもアンヌは、今までリアーヌのことを私達王族と同じレベルの厳しさで育ててきた。つまり普通の子育てはしてこなかったから、それをしたくてしょうがないのよ」


「ちょっと、ちょっと。自分だってソウちゃんに関しては“このまま普通の子供として育てていきたい”って言ってたくせに、その言い方はズルくない?」


つまり二人は、このまま俺を“普通の子供”として育てていきたい、と。

これは今後のことを考えるとラッキーと喜ぶべきなのか、それともガキ扱いにムカつくべきなのか。


……ど~う考えても前者だな。


だってそれって、自分達から政略結婚を進める気はないどころか、むしろ全力で阻止してくれるってことだろ?


「……ソウジには申し訳ないのだけれど、さっき貴方が私達に向かって怒鳴ってきた時……正直、私はどう返せばいいのか分からなかったわ」


「そのせいでレミアちゃんは、自分の子供が相手なのに王妃モードで、ただただ冷静に自分の気持ちとかは全部封じ込めて会話しちゃったのよね~。あれは完全にミナちゃんやリアーヌが相手の時の対応だったはね」


「貴方だって、あの時のソウジに適切な対応を取ってあげられなかったくせに。なにを偉そうに言っているのよ」


お母さんは分かる。

でも母さんも厳しいってマジで?


初対面の奴がいても、メイド長としての態度を最初の数分しか見せなかったあの人が?


「信じられないでしょうが、私のお母様はメイドの教育等に関してはかなり厳しかったんですよ」


また一人、エスパーが増えたよ。

そんなに俺って分かりやすいか?

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