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世界最強の元一般人――異世界ラノベの主人公に憧れた俺、最強でも現実は甘くなかった  作者: ITIRiN
第14章:

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第153話:初代の遺したもの

「それで、結局お前らは俺との話し合いに応じてくれる気になったのか。それとも、お前みたいなガキにはまだ早いってことで、引き続き追い返そうとするのか……いったいどっちを選んだんだ?」


「アンタには今すぐ家に帰って、もう二度とうちに関わらないで欲しいってのが本音だったんだが……どうも悪い話だけをしにきたってわけでもなさそうだし、取り敢えず話だけは聞いてやるよ。ってことで入んな」


そう組長が言うと、包囲網を組んでいた子分どもは、相変わらずのピシッとした動きで素早く二列に並んだかと思えば、次は少しだけ膝を曲げながらその上に両手を置き、最後に頭を下げた。


……はい、よく龍○如くとかで見るお偉いさんのお出迎え方法~。


「って誰だこれ教えたの⁉ どう考えてもこの世界の文化じゃねえだろうが‼」


「ん? ああ、そういえばアンタは日本人だったな。となると、まずは初代の話からするか」


この発言を聞いて嫌な予感がした君、おめでとう。どうやらその予感は当たっていたようだぞ。


というのも、俺はまず組長の仕事部屋らしき所へと通されたのだが、その部屋の横の壁には、歴代の校長の写真とその人物の名前みたいなノリで、おっかない顔をした自画像と名前が二人分飾られていただけでなく、初代に関しては、そっちの世界ではかなり有名だった男の自画像と名前が書かれていたのだから。


「………トレードマークは白のスーツで、主な武器は己の拳のみ。それどころか、敵に拳銃で撃たれたにも関わらず一切怯むことなく、逆に相手が殺されるとビビって逃走。その後、銃弾二発を喰らっているのに自力で病院へ行った挙句、その日のうちに脱走し、朝まで女と酒を飲んで帰宅。この他にも色んな伝説があることで有名な男が、ここの初代だと? 誰だそんな化け物を召喚した馬鹿は。どう考えても並大抵の人間が扱いきれるわけねえだろうが」


「もちろん呼び出したのは旧ボハニアの当時の国王。しかしアンタの言う通り、扱いきれるわけもなかったどころか、下手したらこの国が乗っ取られかねなかったことから、一週間もしないうちに宮殿から追放。そうしてできたのがこの娼館ってわけ。まあここからは少し長くなるから、適当に座ってくれ。(アンタも兄貴に負けてないし、それの手綱を握ってる城内メンバーや騎士団の一部メンバーも、俺は中々だと思うけどな)」


適当に座れと言われたので、一瞬、組長が仕事の時に使っているであろう高そうな椅子に座ってやろうかとも思ったが、単純にそこまで歩くのが面倒だったので、近くにあったソファーへと腰を下ろし、


「飲み物は何がいい? 一応コーヒー・紅茶・日本茶の三つがあるけど、味の保証ができるのは日本茶だけだからよろしく」


「じゃあ、その日本茶とかいうのを頼む」


「流石は二代目。初代が初代なだけあって順応能力が高いな。お前、楽でいいわ~」


「この国に娼館はここしかないってのもあって、昔から結構金を持ってる客がくることも珍しくないからな。そんな奴らに合わせて喋るのに比べて、アンタの場合はただ友達感覚で喋ればいいだけだから、こっちとしても楽で助かるね」


「そいつは良かった。残念ながら、うちで雇ってる人間はその金持ち達みたいに、ほいほいと極秘情報だったり何だったりを喋ることは一生ない。それどころか、お前らが欲しいと思うような情報は絶対に手に入らないだろうけど」


お茶を飲みながら世間話をするような軽いノリでそう言うと、再び只ならぬオーラを発しながら、


「チッ、やっぱりバレてたか」


「どこの世界も異性を使ってスパイ行為をするのは定石。また、それを行いやすい場所といえば、こういった店なのは馬鹿でも分かること。しかし同時に馬鹿はこうも思う。“絶対に自分は大丈夫”と」


「まあ、俺達はその馬鹿なお客様達のおかげで、ここまで何の問題もなくやってこれたってのもあるんだけどな。今もどっかの国関係の情報以外は、毎日のように新しいものが入ってきてるし」


「あはははは。………当たり前だろうが。俺達が何の対策もしていないとでも思ってたのか? あんまりヴァイスシュタイン家の人間舐めんじゃねえぞ」


さっきコイツに言われた、外で元気よく遊んでるガキみたいな雰囲気どうこうってのはよく分からなかったが、今のに関しては途中から意図的に自分が纏っている雰囲気を変えてそう言うと、組長が両手を上にあげながら、


「降参だ降参。嘘でも何でもなく本当に全面降伏するから、それを今すぐ止めてくれ。冗談抜きであと数秒も持たん」


「だったらまずは、この娼館ができた経緯とここの従業員について話せ」


『はぁー、別にもうこの国にいる理由もなくなったんだし、いっそのこと別の国で商売しようかな』とか何とか嫌味混じりの独り言を呟きながらも、ちゃんとこちらの質問に答える気はあったらしい組長は、


「既に知ってるのか興味がないのかは分からねえけど、取り敢えず自己紹介ってことで俺の名前はレオン。種族は吸血鬼だから見た目通りの年齢ではないし、この数百年の間でどうやっても勝てなかった相手は二人しかいないくらいには強い自信がある。まあ、アンタにも勝てる気がしないから、これで三人目だな」


「二人のうち一人は、もしかしなくても初代のことか? 一体どんなチート能力を貰ってこっちの世界にきたんだよ」


「正解。ただでさえ兄貴はぶっ飛んだ戦闘力を有していたってのに、よりによって身体強化に全振りして召喚されやがってなぁ。聞いた話によれば、召喚されたその日のうちに、自分を従えようとしている国王が気に食わないという理由で騎士団相手にドンパチやって、これはヤバいと思った奴等が領地+この娼館をくれてやると言ったところ、一旦は落ち着いたものの、今度はそこで働いてる娘が無理やり連れてこられたのばっかだったもんで、またドンパチ再開。そして、こっちの世界に召喚されて三日後には、この娼館ならびにその関係者には何があろうとも絶対に手を出さないことを約束させただけでなく、もし少しでも変な動きを見せたら次は国ごと潰すぞとまで釘を刺したとかなんとか」


流石は戦後最強の喧嘩師と称された男、おっかねー。


「んで、お前と初代が出会った切っ掛けはなんだったんだ? まさか、あの男に喧嘩でも売ったのか?」


「……昔から俺はフリーの暗殺者を生業にしててな。そっちの世界ではかなり有名だったのもあって、ボハニア王国から兄貴を殺せというご依頼があったってわけ。まあ、普通に失敗したけど」


「ふーん。ちなみに初代が宣言通り報復しなかった理由はなんだ? 個人的には、それをしなかったおかげで色んな人達と出会えたってのもあって、逆に感謝したいくらいだけど」


特に当時の国王と王妃が殺されてたら、セリアには絶対に会えなかったわけだしな。


「流石に宣言通り国を潰しはしなかったけど、暗殺未遂の件が発覚した日から、ちゃくちゃくとそれが何時でも出来るよう人材集めとかはしたぞ。その証拠に俺は兄貴に気に入られて仲間にさせられたし、その他にも暗殺専門の精鋭部隊・スパイ専門の精鋭部隊・強者揃いの特攻隊を作ったりしたし。一時期はそれらをフルに使ってボハニアの極秘情報を集めまくったり、見せしめの意味を込めて何個か貴族の首を送りつけてやったりもしたからな」


「やっぱ世の中、力だけじゃ上手くいかないのな。たまたまとはいえ、あの時ミナ達と出会っててよかったー」


「うるせぇ。こっちだってそれは痛いほど理解させられたから、周辺国に協力を依頼したり何だりもしたけど、よくて監視の手伝いと保護した人達を引き受けてもらえるよう約束させるのでやっとだったんだよ」


そりゃー、この国を乗っ取る=勇者召喚用の魔法陣がもれなく付いてくることになるからな。そんなもんを一国だけ二つも有してるなんて状況になれば、揉めることは間違いないどころか、最悪その国以外で同盟を組まれる可能性だってあるし。妥当な判断だわな。

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