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聖なる村②

 念の為警戒しながら隠されていた道を進む。

 ここまでしなければならない理由が何かあるのだろう。


 石碑からしばらく歩いていると、目的地である村を発見した。

 最近では珍しい、草や木で出来た家がそこここに広がっている。

 そして一つ家に対して一つの謎のオブジェが置いてあった。


 しかし、辺りを歩いているはずの住人が何故か見当たらない。

 とりあえず手紙を出した依頼人を探すべく、適当な家の扉を叩いた。


「誰だ」


 中から男性の低い声が聞こえた。

 少女は手紙の依頼で来た事を伝える。


 少し間があり扉がゆっくりと開けられ、白髪混じりの50代ぐらいの男性が顔をしかめながら出てきた。

 始めにカシムをひと睨みし、次にリリアムを見る。


 すると男性は少女を見た瞬間、驚いた表情をし、その前に跪いた。


「聖女様、よくぞご無事で……」


「は……?え、聖女…?」


 男性の行動に混乱する。

 よく見ると薄らと泣いているではないか。


 そして、こうしてはおれんと家を飛び出し、首から下げていた笛を思い切り吹き出した。


 ピィィィィィィイイイイイ!


 その音を聞きつけたのか、今まで見当たらなかった村人達が続々と家から出てきた。

 キョロキョロと何かを探す様な仕草をしたかと思いきや、少女を見つけるなり先程の男性と同じ様に跪いた。


 老若男女に跪かれ、少女は唖然とした。


「ど、どういうことですか?」


 素直に疑問をぶつけると、この村の村長と思われる老人が立ち上がりリリアムの前まで歩いてきた。


「おいたわしや。記憶を無くされてしまったのですね」


「き、記憶?!」


 村長や村人達の行動に流石のカシムも割って入る。


「これは聖女ではない。何か勘違いをしているのではないか?」


「ああ、貴方が聖女様を連れてきてくれたのですね。ありがとうございます。ささ、こちらへどうぞ」


 老人は深々とお辞儀をした。

 勝手に話を進められ、取り付く島もない。

 わけがわからないまま二人は村の奥にある大きな建物の方へ案内された。



 中へ入ると、色とりどりのガラスが一つの絵を描いていた。

 周りには花が咲き乱れ、噴水もあることから、とても建物内とは思えない。


 カツーンカツーンと足音が響く。

 この建物だけ別世界の様に感じた。


 更に進むと祭壇が現れた。

 祭壇の前では白を基調とした服を来た男女が祈りを捧げていた。


「聖女様がご帰還された」


 老人の声に男女は振り返り、涙を浮かべながら少女へと駆け寄り、抱きしめた。


「おかえりなさい。心配したんですよ」


「おかえり。さあ、父さんに顔をよく見せておくれ」


 顔をまじまじと見られる。

 流石に勘違いに気がつくだろうと思ったが、確信を得たかの様に再度抱き締められた。

 堪らず、声を上げる。


「あの!私、聖女様なんかじゃないです!皆さん勘違いしている様ですが、私はリリアムと言います!こちらのカシムと今まで暮らしてきました!」


「やはり聖女様は少々混乱している様だ。聖女様を自室へ連れて行ってあげなさい」


 先程までリリアムを抱き締めていた男女は移動する様促してきた。

 こちらが何を言っても今のままでは聞いてくれそうもない。

 とりあえず聖女のフリをする事に決め、それをカシムに念話で伝えた。


 カシムには聖女を連れてきた恩人として振る舞う様に指示をし、手紙をよこした理由を聞く事に専念させる。


 しばらく別行動にはなってしまうが、この現状について調査する事にした。


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