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仲間?①

 カシム達は現在、ギズベリン王国にいる。

 ドラコと別れた後、人間領で活動しやすい場所を探し、結果的にこの国になったのだ。

 というのも観光地という人の流れが多いのにも加え、人間領のちょうど中央に位置している為、活動拠点として都合が良かった。


 風の噂で聞いたのだが、以前来た時に話をしたベンザリン国王は相変わらず健在らしい。

 既に80後半に差し掛かっているが、元気に公務を行なっているとの事だ。

 勿論、息子や孫にもいつでも任せられる様に教育にも余念が無い。

 国民からはコッソリと『超人おじいちゃん』と呼ばれ、慕われているようだ。


 とりあえずこれからの事を相談するべく、店に入る事にした。

 昼時だからか、席もかなり埋まっている。

 店員も慌ただしく客席と厨房を行ったり来たりしていた。


 席に着くと、オススメメニューの案内をされた。

 せっかくなので二人はそれを注文する。


「なんだか凄い混みようだね」


「そうだな」


「……んーと、さっき何処まで話してたっけ?」


「確か、拠点をここにしてお手軽な何でも屋をしようとか言ってなかったか?」


 少女はそうそうと相槌をし、詳細を話し始めた。


 魔族と違って人間は仲間意識が強い為、赤の他人の入る隙間はすぐに構築する事が出来ない。

 キチンと対話等を続けないと心を開いてはくれないのだ。

 そこで国民が気軽に使える何でも屋を開き、顔を覚えて貰う。

 ついでに恩も売れれば万々歳だ。


「だが、その恩の売り方とはどうするのだ?」


 何でも屋の依頼料は要相談にし、来たら依頼内容を聞き、依頼人に支払額を決めてもらう。

 明らかに冷やかしや悪事だと思われるもの以外はそれで受ける。

 依頼達成後、支払いをしてもらい、顔を売るというのはそこで終了。


 その後、道端とかでバッタリ出くわした時困っている事がありそうなら無料で引き受ける。

 特に無ければ、好印象になる様な雑談のみをする。

 何でも屋の売り込みは人によっては嫌がられるのでしない。


 そうやって繋がりを断たずにいれば、依頼人が依頼人を呼んできてくれる可能性も高いのである。

 仮に依頼人が来なくても、こちらから人に対して親切にしていれば良い。

 何故ならば、稼ぐ事が目的ではないからだ。


「とまぁ、こんな感じかな。やりながら修正していこ」


「わかった、リリアムの言う通りにしよう」



 そうこうしていると、料理が運ばれてきた。

 美味しそうな匂いが辺りに広がり、肉の置いてある鉄板が勢い良く音を鳴らしている。


「お待たせしましたぁ!シェフの気まぐれランチセットでぇす」


 男なのに女みたいな口調の店員だなぁと思い、リリアムはチラッと顔を盗み見る。


「………あっっ!!!!!」


 彼の顔にビックリして思わず大きな声を出してしまった。

 店員もその声に驚き、少女の方を見る。


「………あーーー!!!!!えっ?!えぇっ?!カカカカシムちゃん?!」


 二人の顔を交互に見ながら、店員は声を上げる。

 その顔は若干引き攣っていた。


 何事だと思い、カシムも店員の顔を見上げる。

 そして首を傾げた。


「っもぅー!!!相変わらず人の顔と名前覚えてないのぉ??!アタシよ、チネハよ、チ・ネ・ハ!!……ったく」


「あーー…………そんなやついたか?」


「ワザとでしょっ!!カシムちゃん!!ワザとやってるでしょっ!!!」


 周りの賑わいと同じくらい、彼はやかましかった。

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