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休息②

 リリアムは現状について相談を始めた。

 それを女性は真剣に聞く。


 話終わると女性はうーんと唸り、一つの結論を話し出す。


「別に全部を仲間にする必要ないんじゃないかい?それこそ無理な話だろう。

 魔王になる条件だって曖昧な感じだし、それ以外の魔族は仲間に出来てるんだから充分だとアタシは思うがね」


「でも、もし仲間が足りなくてカシムがいなくなっちゃったら……!」


 少女に詰め寄られ、ドラコは頬をぽりぽりと掻き、小さく息を吐く。


「あんま言いたかないが、前の魔王はアタシは知り合いだったんだ。性格歪んじまって異世界の勇者とやらに討伐されちまったがね」


 突然の言葉に少女のみならず、カシムも食いつく。

 そんな話聞いた事がないと思った。


 ドラコが言うには、前魔王が魔王になる前、カシムと同様に仲間集めをしていた時にドラコは知り合ったらしい。

 とても気さくで心身ともに強く、そして優しかった。

 すぐに気に入り、仲間になると告げたとの事。

 その人が魔王になった後、会う機会があったので仲間集めについて聞いてみたことがあった。

 全種族は仲間に出来たが、流石に全部を仲間には出来なかったと言っていたのだ。


「だから、全ての魔族や人間を仲間にする必要なんてないんだよ」


 少し寂しげにドラコは言った。


 完璧を求め過ぎてたのかもしれないと少女は目から鱗が落ちる気分だった。

 カシムが確実に魔王になれる様にしてきたが、仲間に関してはそこまで気にする必要もなかったみたいだ。


 それにしてもドラコが前魔王と知り合いだと言うのも衝撃である。

 もう少し前魔王の情報を聞きたかったが、それ以降は話してくれそうな雰囲気ではなかった。


 その後はこの数年について雑談をしていた。

 ドラコは人間の成長は早いねぇとか言いながらグリグリと少女の頭を撫でたり、カシムについての面白い話を聞かされたりと束の間の休息を楽しんだ。


 気付けば夜が深まっていた。

 それだけ沢山話したと言う事だろう。


 ドラコの好意で今夜は泊めてもらうことになった。

 前回来られた時に巣を綺麗さっぱり無くしてしまったが、あれからコツコツとまた作り直していると言われた。

 赤ん坊の頃とはいえ、少女は申し訳ない気持ちになった。


 寝床にはふわふわの綿毛が敷き詰められている。

 寝転がると身体に吸い付く様にフィットした。

 外だというのに火を焚かなくても温かい。


 カシムは少女の隣で既に眠ってしまった。

 至近距離で彼の顔をあまり見た事はなかったが、整った顔をしてるんだなぁとリリアムは改めて思った。


 そしてドラコの位置も確認する。

 今はドラコ、リリアム、カシムの順番で横並びで寝ている。

 昔読んだ絵本の中に、家族が眠っているシーンがあった事を思い出した。

 それには今と同じ状況が描かれていた。


 リリアムは小さくフフフと笑い、楽しい夢の世界へと向かった。




 朝、太陽の光で目が覚めた。

 綿毛から出ると肌寒い。

 ぶるっと身震いをする。


 のぼりたての太陽はキラキラと煌めいている。

 古城にいる時には感じる事が出来なかった感覚。

 少女はうーんと伸びをした。


 大人の二人は既に起きていて、朝食の準備をしていた。

 自分も手伝おうと移動する。




「「「いただきます」」」


 いつも野宿の時は割と適当だが、ドラコ主導で作った朝食はとても美味しかった。

 そもそも何でドラコが料理出来るのか不思議だった。


 通常ドラゴンの食生活といえば、素材の味をそのままにが基本である。

 なのに調味料とか皿とか色々用意されているのだ。


 聞くと、昔人間に紛れて暮らしていた事があったらしい。

 その時の名残りだとか言って笑っていた。




 朝食をとり終わり、出発の準備をする。

 その最中、カシムが思い出したかの様な表情でドラコに話しかけた。


「ドラコ、私の仲間になってくれ」


 言われた方はあまりに唐突過ぎて目を丸くし、やがて腹を抱えて笑う。

 カシムはキョトンとした様子で首を傾げた。

 そして笑い終わった彼女は彼の背中をバシッと叩き、告げる。


「何言ってるんだい!アタシは元々あんたの仲間だよ」


 ニッと笑った。




 とりあえず魔族領は出て、人間領に行くことに決めた。

 カシムにはいつも通り人間に変身してもらう。

 そして、ドラコに礼を言い、その場所を後にした。


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