休息①
リリアムは地図を見ながら悩んでいた。
というのも、次の行動をどうしたらいいのか決めかねていたからだ。
一つは悪魔。
魔力が高く、攻撃的。
遊びと称して、陥れたり、破滅させたりして喜ぶ。
様々なところに分布しており、統率する長はいない。
全て個々で動いている。
もう一つはドラゴン。
普段は高山に生息している。
人の姿も取れ意思疎通も出来る為、魔族と魔物の中間に位置している。
総合的に攻撃力が高く、他の者を寄せ付けない。
悪魔と同じく、統率する者はおらず個々で生活している。
この二つの種族の難点は統率する者がいないというところだ。
今までは族長をおさえてしまえば何とかなっていたが、そうもいかない。
仲間に引き込むとしても、個々に当たっていくしかないのだ。
しかも、悪魔に関してはその数も多く、一人一人当たっていくのも限度がある。
ドラゴンにしても、数は少ないが穏和なタイプはほぼおらず、見つかった瞬間に攻撃してくる者も多い。
その為、そもそも仲間にするか否かで悩んでいたのだ。
仮に仲間にしないとしたら、魔族領でする事が無くなるので人間領に移行する事になる。
仲間にするとしたら、それなりの数を従えるのに年単位で時間がかかってしまう。
ひょっとしたら少女は寿命を迎えてしまうかもしれないのだ。
「カシム、どうしたらいいと思う?」
少女は何で悩んでいるのか打ち明け、指示を仰いでみる。
「リリアムがわからないことを私がわかるとでも思っているのか?」
ごもっともな意見に何も返せなかった。
微妙な表情をしている少女を見て、カシムはとある事を思い付く。
「………ドラコに会いに行こうか」
リリアムはその存在を話でしか聞いた事がない。
困った時のドラコ頼みとたまに話されていた。
また、自分がまだ赤ん坊の頃にも世話になっていたらしい。
藁にもすがる思いでカシムに頼むと、早速念話をしてくれた。
返答はどうかとソワソワしながら終わるのを待つ。
「ああ……ではあとで……。……来いと言われた」
念話が終了し、こちらに向き直る。
どうやら行っても良い様だ。
初めてのドラゴン、少女はドキドキする。
場所はわかるので転移魔法を使い、移動した。
到着すると、そこには一人の女性が腕を組んで立っていた。
「来たね、カシム。さて、今回はどんな厄介ごとを持って来たんだい?」
少女をチラリと見て、ニヤリと笑う。
身体がビクッと反応する。
人の姿をとっていても流石ドラゴン、眼光が鋭い。
蛇に睨まれた蛙の気分になる。
おもわず、カシムの服の裾を握ってしまった。
「ああ、それなんだが。リリアム、話せ」
ずいっと背中を押される。
心の準備が出来ていないのに前に立たされる。
そして目の前の女性を見上げた。
大きい。流石ドラゴン。
「え……えと、わ…私リリアムとみょうしましゅ…」
ペコリと頭を下げた瞬間、盛大に噛んだことに気付き顔から火が出そうになった。
少女があからさまに緊張しているのがわかり、それが面白かったのが女性は盛大に笑う。
「そんなに緊張しなくてもとって食いやしないよ。アタシはドラコ、カシムとは腐れ縁ってかんじかね」
ワハハと豪快に肩を叩かれる、ちょっと痛い。
歓迎されているのを感じ、少し恐さが和らいだ。
そしてなんというか、無性に呼びたくなった。
姐さんと。




