森へ①
獣人。
主に森や山など木々が多い所を好んで住む。
身体の所々に動物の特徴があり、とても好戦的で、挨拶代わりに戦闘を仕掛けてくる場合もある。
草食系と肉食系で分類されており、お互いをライバル視している。
ゲシ!ゲシ!
現在、肉食系獣人の子供にカシムは足を蹴られていた。
しかも無言で執拗に脛を狙って蹴ってくる。
事の発端はカシム達が獣人の住むテリトリーに入り、迷子の子供を見つけたところから始まる。
リリアムが声をかけ、その子が迷子だとわかり、両親の元へと帰そうとした。
ところがカシムは………。
「何故そんな子供を連れて行かねばならぬのだ?」
と己の疑問を尋ねたが最後、それが子供の機嫌を損ねたらしく、歩きながらずっとカシムを攻撃してくるのだ。
側から見るとなかなかシュールな光景である。
リリアムがやめる様に言っても聞く耳を持たない。
カシムはカシムでダメージを感じていない為か、気にする様子もなくいつも通り歩いている。
それが子供にとって、余計に癪に障るのであろう。
森を進んでいくと、やがて集落を見つけた。
資源は森で採取してるのか、全て木造である。
住人はどうやら獣人のようだ。
迷子の親も見つかるかもしれない。
集落の獣人に子供の親を探していると聞くと、指をさして教えてくれた。
教えた礼に一戦どうだいと言われたが丁重に断った。
獣人達は目を輝かせながら、この辺では珍しい悪魔と人間を見ている。
何人かに声を掛けられたが、全て勝負の申し込みだった。
いきなり襲い掛かって来ないだけ、まだマシかもしれないと少女は思う。
そうこうしていると子供の家と思われる場所に到着した。
子供は相変わらず、脛を攻撃するのに夢中で気付いていない。
声を掛けても無視される。
仕方がないので、家の扉をノックし親に出てきてもらう事にした。
コンコンコン…………ガチャ。
中から子供と同じ風貌の獣人が出てきた。
「この子供はお前の子か?」
カシムがそう聞くや否や、獣人は子供の頭を片手で掴み、地面へと叩きつける。
突然の出来事に驚きを隠せない。
少女は一人でオロオロする。
すると子供は何事もなかったかの様にムクリと起き上がり、母ちゃんただいま!と元気に帰宅を報告した。
少女が事情を説明すると、更に子供は拳骨をくらっていた。
後に本で確認したところ、獣人の子育てはこういう過激なものらしい。
「お礼に一戦如何ですか?」
「ええと、結構です。それより、獣人達の住処で一番大きいところはどこにありますか?」
普通の地図だと大まかな範囲しか描かれていない為、特定が難しい。
母親に聞くと家の中から獣人用の地図を持ってきてくれた。
詳細に記載されており、わかりやすい。
勝負の代わりにと母親は快く獣人用の地図をくれた。
目指すは、獣人の闘技場。
獣人の長が主宰しているものである。
規模も大きく、色んな所からの支援で運営しているとのことだ。
賭け事としても使われている。
その為、ここで優勝した者には名誉が与えられ、出来る限りの望みを叶えられるらしい。
そこでカシムに優勝させて、仲間になってもらえる様に希望する予定だ。
今の時期はちょうど出場者を募集している頃合いだ。
善は急げと足早に目的地へと向かった。




