崖へ①
鳥人。
主に崖の側面を掘り、居住空間にしている。
上半身が人で下半身と背中に鳥の象徴を持つ。
プライドが高く、自分達以外を下にみる傾向がある。
カシム達は鳥人が住んでると思われる場所にやってきた。
海風が強く、衣服が激しくはためく。
崖が住処との事なので断崖絶壁になっているところを覗き込む。
その高さに少女は少し震えるが、ここが目的地であっている様だ。
所々穴が掘られ、鳥人達が行き交っている。
店はわかりやすい様に旗がたてられ、そこに目掛けて飛んでいる者もいる。
羽ばたきの際に出た羽が風に乗って空へと舞い上がっていた。
さて、どうやって入り込もうか。
リリアムが考えていると、急に抱き上げられる。
驚いて相手の顔を見ると、
「行くのだろう?」
と、発するやいなや鳥人達の元へ飛び降りた。
思わず悲鳴をあげる。
「ちょっ…!!ひぃやぁぁああああ!!!」
海風も相まって、髪や服がバサバサと踊る。
急激落下に顔の肉が引き攣る。
鳥人の視界に入る位置に着いた時、カシムはその場でピタリと止まる。
慣性の法則が働き、少女は呻き声を上げた。
たった数秒で抱き抱えられているにも関わらず、ヨロヨロしている少女を横目に、カシムは声を発する。
「私は魔王になる為、お前達を仲間に加えたいと思っている。どうしたらなってくれる?」
突然現れ、訳の分からない事を言っている魔族の男を見て、鳥人達は目をパチクリさせる。
そして次第にそれは笑い声へと変化していった。
アハハハハハ!!
魔王になりたいだってー!!
めちゃくちゃ面白い!!
バカなのかなぁー?!
なんで女の子抱いてんだよー、そういう遊びかー?!
カシムの発言を聞いた者全てが笑っているのではないかと思うくらいの大爆笑。
彼自身は何故笑われているのか分からずキョトンとしていた。
すると一人の鳥人が近付いてきた。
「アハハ、あんた面白い事言ってくれるじゃないか……プクク。こりゃ、族長にも見せてやらないとなぁ……ハハ」
ついてきなと指を差し、飛んで行ってしまった。
とりあえず後を追うことにする。
その最中でも鳥人達は突然の来訪者に対して嘲りの態度を取っていた。
「族長ー!見てください、頭おかしい奴来てますよー!!」
案内をした鳥人の男は相変わらず笑いながら叫ぶ。
族長の住処は他の者と比べ広めに作られており、綺麗な布や貝殻などで装飾されていた。
付近には護衛とみられる者も立っている。
「何ごとかしら、騒がしい」
奥から花をあしらった髪飾りをつけた鳥人の女が現れた。
護衛の者達は膝をつき敬礼する。
案内の男は手を振りながら挨拶をした。
どうやらこの女が族長のようだ。
用意されている椅子に座り、頬杖をつく。
「族長ー!こいつ、魔王になりたいんだってさ!!アハハ、面白いよねー!!」
「魔王?フフ、魔王ってあの魔王か?フハハハハ!!なんとも愉快だ!」
族長が笑ったのを皮切りに、護衛達も声を上げて笑う。
明らかにバカにされてると感じ、リリアムはムッとした表情をする。
カシムはカシムで相変わらずよくわかっていない様だった。




