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戦い④

「ちょっと離しなさいよ!痛いじゃない、アタシをどうするつもり?!」


 鎖に縛り上げられた男はジタバタしながら睨む。


 カシムは一瞬ポカンとした顔をする。

 今までは自分に攻撃してくる輩は、全てその場で息の根を止めていた。

 だがリリアムに、それだと魔王にはなれないと咎められ、出来る限り殺しはしない様にしていた。


 つまり、この男はまだ殺ってはいけないんだったと思ったのであった。


 とりあえず、少女にこの男の処遇を確認しようとギャーギャー煩い声を無視し、急降下する。




「いーーーーーやーーーーーー!!!!とまっ!!とまってぇぇぇぇぇぇ!!!!」




 自分の力で進むのと、他人に無理矢理引っ張られるのでは、体感が随分違う。

 体勢が整っていないせいで、風圧やらなんやらを防ぐ事が出来ない。

 例えるならば、竜巻に巻き込まれた洋服の様に荒ぶっていた。


(なんで!?なんで魔法が使えないの?!)


 髪の毛がぐちゃぐちゃになりながらも、男は抵抗しようと魔力を練ろうとする。

 だが、上手く練れない。

 もしかしたら鎖に魔封じの効果があるのかもしれないとアタリを付けるも意味は無い。

 なす術なく、引っ張られ続けた。






 少年の様子を見ていたリリアムはふと上を見上げると、異空間が解け、空が見え始めていた。

 そして何かが高速で近づいて来ているのが見えた。

 念の為、臨戦体勢を取る。


 段々と近付くにつれ、それが見覚えのある人物だと気が付いた。

 ホッと肩を撫で下ろす。


 やがて、カシムが地面に足を下ろした。

 怪我を負っている様子はない。

 良かった。



「リリアム、こいつをどうしたら良い?」


 こいつ……と言われても上空に伸びている鎖しか見えない。

 頭にハテナを出していると、何か奇声が聞こえる。

 どうやら鎖の先から聞こえてくるようだ。


 少しすると人影が視認できた。

 その直後………。




 どぉぉぉぉぉーーーーん!!!!




 自分とカシムの間に人影が落下し、地面にめり込んだ。

 砂埃が舞い上がり、思わず咳き込む。

 目にも少し入った為、痛みで涙が出てきた。


 よくよく見てみると、あの男ではないか。

 白目剥いて、酷い顔をしている。


 これを見るに、どうやらカシムは戦いに勝って男を捕縛したのだろう。

 そして処理に困ってとりあえず連れてきた。


 カシムと目が合う。

 どうする?と未だに投げかけてくる。


 この男は自分の楽しみの為だけに国をめちゃくちゃに拗らせた。

 実際死者も複数出ている。

 このまま生かしておくと今回のような事がまた起こるかもしれない。


 だけど、息の根を止めるだけでは生温い気がする。

 こんな奴のために死んでいった人達は納得いかないんじゃないか?


 この男が生涯苦しみ、かつ世の中の為になる方法はないか………?



「あ、良い事思い付いた!」


 正直言って、出来るか出来ないかはわからない。

 が、カシムなら出来るのではないかと思い、提案した。


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