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戦い③

 元の姿に戻った男は、翼を使い、こっちに来いとばかりに宙へ飛び上がる。

 カシムはそれを目で追い、同じく飛び上がった。

 地面に空気圧が広がる。


 衣服が張り付くほどの速度でどんどん高度を上げていく。


 先に飛び上がった男が下をチラッと見る。

 カシムが追いかけて来るのを確認すると魔力を練り始めた。

 手に光が灯る。


 カシムもそれを察知し、魔力を溜める。

 それと同時に何が来ても良い様に防御魔法も付与した。


 仕掛けたのは男だった。

 巨大な炎の渦が相手に目掛け落ちて来る。

 ゴゥーと唸りを上げた。


 瞬時に溜めていた魔力を氷に変え、応戦する。

 炎と氷が激しくぶつかり、空気が揺れた。


 互いの魔法が消滅する間もなく、男が急降下し、カシムに襲いかかる。

 それを軽々といなし、遠心力を利用して鋭く尖った氷を放つ。


 男は防御魔法でそれを防ぐと同時に、雷を圧縮した球を無数に作り上げ投げた。

 雨の様に降って来る雷球を相手はすんでのところで避ける。


 お互い力が拮抗しているのか、当たる気配がない。

 思わず男は舌打ちをする。


 このまま埒があかないと狙いを少女に向けた。

 あの少女へ攻撃すれば、カシムはそれを庇いに行くだろう。

 その隙をついて、攻撃すれば良い。


 だが、そんなことお見通しとばかりに足元の広範囲に防御魔法を展開する。

 男は炎を放つも弾かれてしまった。


「だったら………!!!」


 男は防御魔法に向けて再び急降下をする。

 その勢いはまるで隕石の様だ。

 赤いオーラを放ち、纏わりつく。


 防御魔法に追突するとその部分だけ砕けた。

 勢いは止まらず、地上へ近づく。


 そこでカシムは鎖状の魔法を男へ打った。

 金に輝く鎖は男に絡みつき捕縛する。

 抵抗するが、なかなか引きちぎる事が出来ない。


 それを勢いよく引き上げ、自分の前に来させた。

 身動きが取れない男は悔しげな表情を浮かべる。



 ------



 リリアムは地上から戦いの光景を眺める。

 遥か上空で行われている為、眺めるといっても光の瞬きを見ているだけだが。

 それでも凄まじさは轟音と共に伝わってくる。


 そういえばと少女はソーシウスの元へ駆け寄った。

 もしかしたら、重大な怪我をしているかもしれない。

 少年の身体のいたるところを確認し、大事ないということがわかる。


 自分は眠っていてわからないが、きっとここまでソーシウスが頑張ってくれたのだろう。

 お疲れ様の意味も込めて、気付薬として少年に癒し魔法をかけてあげた。


 しかめていた顔が安らいでいく。

 それは寝息に変わっていった。


 ホッと肩を撫で下ろすと再び上を見上げる。

 いまだ衰える気配の無い、荒れ狂う魔法を見て、無意識に祈った。


「カシム……死なないでね……」


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